「なんだよ、ウワサって」
「いやさ。デフォルト検索エンジンをGoogleからBingに変えてしばらく経つけどさ。まさかこんな文字を見るとは思わなかった」
「文字を見るって、君が書いてるんだろ?」
「違うよ。見ず知らずの他人だよ。Gizmodoの記事」
「あれ?」
「つまりさ。世間に逆らって1人で勝手に自分の思ったところに歩いて行こうと思ったら、他にも同行者がいたわけだよ」
「同行者か!」
「しかも、見ず知らず。ぜんぜん共謀とか打ち合わせもしてない」
「そうか」
「それに、こういうところでこういう話題が出るということは、水面下でけっこう同行者が多いことが予想される。ちなみに、BingのシェアがYahooのシェアを超えたという記事もたまたま今日どっかで見たな。まだGoogleが圧倒的に優勢だけど」
「じゃあ、Bingは検索として優れているの?」
「そうでもない。最盛期のGoogleの方が良かったと思う」
「えー。じゃあなんで乗り換えるんだよ」
「今のGoogleが検索エンジンとしての満足度を落としているからだよ」
「それって、敵失じゃん。自殺点じゃん」
「うん。そうだよ。敵が勝手にずっこけて退場するのがMS勝利の黄金パターンだ」
「まさか」
「最優秀とは言えないMS製品がなぜライバルを制するのかといえば、『悪の帝国が汚い手を使って悪いことをしているから』とウワサされて、もっともらしく流布されるが実際は違うことが多い」
「ライバルの自滅が多いってこと?」
「そう。MS製品以上に期待され、知名度もあったソフトも多いが、ほとんどは消えて無くなった」
「それは君の説じゃ無いの?」
「そうじゃない。たとえば、新潮新書の『マイクロソフト戦記―世界標準の作られ方― トム佐藤著』でも、Windowsの勝因としてライバルの自滅が書かれていたと思う」
「じゃあ、なんでまだGoogleのシェアは圧倒的に高いの?」
「自分から能動的に選択するユーザーは少ないからだろう」
「ほんとに?」
「だって、Google創生期はGoogleの方が検索結果が良かったのに、大多数はYahoo!使ってたぞ」
「ぎゃふん」