「他人を押しのけてまで見るのも公共性が無いと反省することしきり」
「押しのけちゃダメだよね」
「でもさ。初日は見る環境が良くなかったので、もう1回だけは見ようと思った」
「そうか」
「連戦は無理があるので、1日置いて月曜日から金曜日まで。その中で、最も無理の無い曜日は月曜日という結論が出たので、月曜日に見にいくことにした」
「盛んなことで」
その他の感想 §
「先にその他の感想を行くぞ」
「なんだよその他って」
「映画本編以外」
- 初日より女性の比率が多い気がした
- 席は埋まっていなかった。おおざっぱに言って埋まったのは半分。遠慮は要らなかった
- じっくりポスターを見て発見した。ヤマトの背景に薄く描いてある他の艦の側面には全て艦名が書き込まれている。ただし、文字の入った映画ポスターは文字に一部隠れてしまっている
- 初日は人の洪水でそこまで気が回らなかったけど、DC版のパンフレットが存在した。薄いくせに800円もして目の玉が飛び出るけど1冊買った。かなり貴重なアイテムだぞ
- 同じビルでなんと月光仮面が上映中と思ったら、月光仮面のリメイクではなく、月光ノ仮面という別の映画だった
パンフの感想 §
「たかがDC版のパンフごときで、これほど燃えるとは思わなかったな」
「えー」
- 表紙が上で取り上げたポスターと同じ絵。きりしま、ゆうなぎ、しまかぜ、あと1隻は惜しいことに文字がかぶって艦名が読めない
- 波動実験艦ムサシ (波動砲の砲口が塞がれている)
- ブルーアース (非武装のブルーノア同型艦。政府中枢の移動用)
- ペンシルバニア (アリゾナ級)
- アンドロメダA12 (アンドロメダ級12番艦。スーパーアンドロメダ級ニアラズ)
「特にポイントが高いのがペンシルバニア」
「どうして?」
「ヤマトIIIのアリゾナ級だからな。後期ヤマトの後継者であることが明確になるから」
「スーパーアンドロメダでは後期ヤマトの後継者とは言えないわけだね」
「ちなみに、ムサシもブルーアースもペンシルバニアもアンドロメダA12も全部映像で登場するから。すげえポイント高いぞ」
映画の感想 §
「つまりだな。2009公開版とDC版は以下のように構成が違うのだ」
- 2009 →SUS要塞戦→BH戦
- 2012 →アマール介入戦→SUS要塞戦
「それにどんな意味があるの?」
「だから、アマール介入戦がもっとドラマチックに盛り上がるし、SUS要塞戦はより以上に盛り上がるのだ」
「そうか」
「しかし、本来はこの方がいい。この構成の方がしっくり来る」
艦長のお礼 §
「最後に古代艦長がお礼を言うシーン。ここが実は意味深だ」
「どうして?」
「感情がもつれていたメンバーも、お互いを認めてまた一緒にやりたいという」
「上条と小林だね」
「しかし、それだけじゃない」
「えっ?」
「佐々木、真帆、小林、上条、桜井。呼ばれたのはこのメンバーだったと思うが、実はこの5人は全員出自が違う」
「えー」
「佐々木がどこから来たのかは明確に語られないが、真帆は科学局、小林はヤマト復活計画、上条は第1次移民船団の護衛、桜井は輸送船ゆきだ」
「全員違うわけだね」
「でも今は互いを信頼したチームだ。商船学校出と馬鹿にされた桜井も、腕を負傷しても操縦を続けて根性を見せた」
「そうか。みんなそれなりに意地を見せて信頼関係ができたんだね」
「だから古代は敗者で始まり敗者で終わるのだけど、信頼できるチームを作れるという意味では価値あるものを手に入れている」
いつかまた巡り会える、光と影のように §
「光と影の演出がかなり上手くできてる」
「アニメでは不得意であることが多いポイントだね」
「だからDC版は実写とも戦える戦闘力があると思うよ」
「そうか」
「あと宇宙が暗いんだ。これは光の演出を効果的に見せるのに良い特徴だ」
「宇宙が暗いのか!」
「でも、銀河中心方向に飛んでいくラストシーンでは宇宙が明るいんだ」
「星が多い方向ってことだね」
「でもヤマトは暗い。明るい宇宙に暗いヤマト。コントラストがくっきりして、印象的でいいシーンだ」
「いいのか!」
「あれはいいと思うよ」
残存艦 §
「古代の第3次移民船団の護衛艦隊は、SUSとの決戦でヤマト以外全艦が失われた……のではない」
「えっ? だって、戦闘でみんな沈んだじゃない」
「そうじゃない。実は6隻の移民船を地球に戻すとき、護衛に2隻付けているんだ」
「その2隻はSUS戦に参加してないから残存しているのか」
「おそらく、それが最後に古代が通信で語る古代配下の『しまかぜ』と『きりしま』(うろおぼえ、たぶん)だ」
「えー。これはびっくり」
「問題は艦名だな」
「霧島は戦艦の名前、島風は駆逐艦の名前ってこと?」
「厳密に言うと、霧島は旧国名ではなく山の名前であり、戦艦の名前ではなく巡洋戦艦ないし重巡洋艦の名前だ」
「それでも駆逐艦の名前と釣り合わないよ」
「そうでもない。旧海軍の島風は重武装超高速の試作特注的な駆逐艦だったからだ」
「シマった」
真帆の心は誰のもの §
「小林が変な告白をするので、小林と真帆がカップルのように見えるが、実は小林は佐々木先生と相性が良く、真帆はむしろ桜井や上条と相性が良い。アマールで衛星を見上げているとき、真帆と一緒にいるのは桜井と上条。桜井の方が位置関係が近い」
「妙に屈折したキャラクター配置だね」
「そして、この関係に入って来ないのが『腹減った』中西」
「色気より食い気だね」
ブルーノア §
「ちなみに、ブルーノアの司令官。DC版では撃たれてから敵と見なすと通告している。適切な順番に変更されていて、そこも良かったな」
オマケ §
「結局さあ、旧日本海軍が上手くできなかったのが船団護衛なんだ。イギリスみたいに、旧式戦艦を護衛に付けるという発想もなかなか獲得できなかった」
「その結果、ボコボコ輸送船が沈められて負けたわけだね」
「素人は戦術を語り、玄人は戦略を語り、プロは兵站を語る、と『大砲とスタンプ1巻』というコミックの帯に書いてあったけど、まさにその通り。兵站を軽視した軍隊は負けて当然」
「きびしー」
「そういう観点から言えば、復活編で徹底的に移民船を守るために戦うヤマトって言うのは胸がスカッとするよ。移民船を守り、脱出する味方の後衛戦闘に徹するヤマトの姿は、ある意味で旧日本海軍が大和をもってしても出来なかった一種の理想像なんだ。それゆえに、復活編はヤマトシリーズでも別格の魅力があるし、移民船団の防衛戦はDC版でも基本はあまりいじられていない」
オマケ・シーガル §
「うっかりよく知らなかった。ゴルイの艦はシーガル。2199のコスモ・シーガルとの関係はどうなっちゃうの!?」
「ひ~」
オマケ・州名 §
「特にポイントが高いのがペンシルバニア」
「どうして?」
「アメリカの戦艦は州の名前がつく。だから、アリゾナもアリゾナ州の名前だ。そこからすると、同型艦は州名が付くのが自然だ。だから、同じ州名のペンシルバニアという名前が付くのは『ああ、分かってる』という安心感があってポイント高いぞ」
「ああ、分かった。アリゾナと一緒に真珠湾でボコボコにした戦艦だから、同型艦にふさわしいのだね?」
「何か違う……というか、レイテで日本軍をボコボコに叩いた戦艦なんだよね、ペンシルバニアって」
「ぎゃふん」
オマケ・『大砲とスタンプ』 §
「DC版を見る前に、紀伊國屋のアドホックで平積みになっていたのを購入したのだ。本当はあまり無駄遣いをしたくなかったので、何が売られているか見るだけで済ませる予定であった。しかし、ピピッと来て買ってしまった。大正解。超おもしろい」
「『大砲とスタンプ』って、どんな内容?」
「物資の横流し発覚とか、志気のために慰問の手紙を大量にねつ造するとか、書類上別の物資として運ばれる金(きん)を横取りするとか、金(かね)が無いから軍票を刷るとか、そういうエキサイティングな面白い話であった」
「へえ」
「作者によると『海軍めしたき物語』がベースになっているらしいぞ」
「なら、ヤマトの前に読むのも悪くないね」
オマケ・死因 §
「『大砲とスタンプ』って、どんな内容?」
「前任のベテラン中尉の死因が戦死じゃなくて女郎屋での腹上死だったとか」
「ぎゃふん」
「士官用の酒場に入れないで外で待っている兵の女の子が、暖かいベッドで待つと言って空軍の軍人にすぐ声を掛けて一緒に宿屋に入るとか」
「なんちゅう漫画や」
「だから兵站の漫画だよ」