「PhoneGap 1.4.0 Releasedのウワサだ」
「へえ。もう試したのかい?」
「それはまだだ。というか、現在の方針ではPhoneGapを使わないので試さないかもしれない」
「なら、なぜ話題にするんだよ」
「これがあまりに面白いからだ」
「なにこれ。何をクラウドサービスするの?」
「要するにソースを入れると、各スマホプラットフォームの提出可能なバイナリーが出てくる」
「そんなの自分のPCでビルドすればいいじゃん」
「それが可能ならな。あるいはローコストならな」
「は? どういうこと?」
「実際には以下のような状況が出てくる」
- 特定のメーカーの本体を買わない開発ツールが動かない
- 慣れたツールとは違うツールが強要される
- 慣れた言語とは違う言語が強要される (同じものを何回も書き方を変えて書かされる)
「従来のPhoneGapは3番目を解消することができた。少なくともHTML5であることだけを飲めば、それ以上は要求されない」
「そうだね。そこがポイントだったね」
「しかし、それで万事解決かと言えば、そうではなかった。ソースが書けてもビルドの段階で問題が出てしまうわけだ」
「問題ね」
「問題とは結局、コストに換算される。手間暇時間各種リソース類などは、タダでは使えない」
「オープンソースで解決できないの?」
「できない。なぜなら、オープンソースに含まれるタダのソースコードという思想は、コスト負担をボランティアに押しつけることで成立しているからだ。広告の入ったティッシュはタダでもらえるけど、配るにはコストが掛かるのだ。分かるかな?」
「分かるような分からないような……」
「であるから、『無駄にビルド環境のバリエーションを増やして手間暇時間コストを無駄遣いさせるクソXXは死ね!』という立腹はけっこうワールドワイドに共通で、それに対応するサービスが出てきたのは当然ということなのだろう」
「そのクソXXのXXって何? Apple? Google?」
「全部だ。無駄にバリエーションを増やしたブランドは全部XXに当てはまる」
「えー」
「ハード屋さんはさぞ気分がいいと思うよ。自分の独自性を出した製品を作れるんだから。でも、その独自性がソフト開発というレイヤーでコスト増を産んでいるわけで、他人がツケを払っているんだ。他人のツケでいい気分になるとは下らないが、そのような腐った世界秩序を『下らないぜ』と足蹴にしてコスト負担を下げようと試みるのは良いことだ」
「じゃあ、前向きに歓迎ってこと?」
「実際に試していないので、どの程度の実用性があるのかは知らないが、良い試みだと思う」
「じゃあ、ハード屋はヒーローでは無く奴隷になれってこと? 独自性は出すなってこと?」
「そうじゃない。独自性を出して良い場所と、出してはいけない場所がある。その見極めができるほど成熟していなかった、ということだろう」
「大人になれってことだね」
「そうだ。ジャイアンはスネ夫からゲームを取り上げて遊べるからと言って、その方法が一生通じる訳では無い。大人になったら、いくらジャイアンがスネ夫の職場に押しかけて暴力で脅しても、警備員につまみ出されるのがオチだ」