2012年02月28日
川俣晶の縁側過去形 本の虫感想編 total 3248 count

靴ずれ戦線・おそロシア物語

Written By: 川俣 晶連絡先

「最近のイチオシのコミックは。速水螺旋人だ。まだ2冊しか読んでないけど」

「なぜなの?」

「中身の質がとてつもなく高い」

「どう高いの?」

「バカはまず戦闘を描く。ちょっと利口な奴は戦争の無い日常を描く。だが、その上に位置する奴は何を描くと思う?」

「何?」

「兵站だ」

「えー」

「というわけで、大砲とスタンプ(1)は大ヒットであった」

「兵站でドラマがあるのかよ」

「あるある。何しろ戦う」

「戦闘は主テーマじゃ無いっていったろ」

「やり合う相手は味方だ」

「ぎゃふん」

「というわで、同じ作者の『靴ずれ戦線 魔女ワーシェンカの戦争』という本にも手を出した」

「それで?」

「これも面白い。何しろ大祖国戦争である。第2次大戦をソ連側から描いている。しかも、魔女もの。ロシアの伝承風俗がバシバシでてくる」

「へえ」

「だいたい、ソ連軍の将校が妖怪の風呂場に迷い込んで人間とばれたらやばいので、咄嗟に『共産主義という妖怪です』と答えるところなんか最高」

「共産主義という妖怪?」

「ヨーロッパを徘徊してるんだよ」

「何が面白いのかさっぱりワカラン」

「問題はその靴ずれ戦線だが、まあ紀伊國屋アドホックで平積みだったのは分かる。けっこう古くてマニアックな本でもそこそこ売れるなら平積みで置く」

「平積みだったの?」

「そう。出たのは2011年で、年を越しているけど、置いてあった」

「へえ」

「でも、びっくりは止まらない。Facebookで読んでいる人は知ってると思うが、このあいだ新宿地下道の本屋でも平積みだった。それほど広くは無い店内で、出版から数ヶ月経過した本が平積みとは凄い。よほど売れているのだろう」

「そうか」

「と思ったら、今日は下高井戸の本屋でも平積みだった。しかも、重版だ」

下高井戸にて

「ひぇ~」

「君も1冊買いたまえ同志」

オマケ §

「というわけで、まったく予測不能な事態だったので、何か来そうだと思った」

「何かって?」

「そこで気付いた。明日は2月29日」

「だからどうした」

「カシヤーンが来るで。腐っても聖人や。おそロシア!」

「カシヤーンで誰だ」

「ロシアで恐れられるおっさんだ」

「そういう設定のファンタジー?」

「バカを言え。実際のロシアの伝承らしいぞ」

「えー」

「一読して世界が広がる。そこがいいね!」

オマケ2 §

「しかし、いいのか? 凍らぬ港がある限り、ロシアは必ず攻めてくるぞ」

「家は焼け、畑はコルホーズか? そして、オレはシベリア送りなんだな?」

「そうそう」

「でもいいよ。靴ずれ戦線の敵はナチス・ドイツだし、ナチス・ドイツとソ連のどっちを取るかと言われるとソ連だし」

「えー。なぜそう言い切れるんだ?」

「前にハセガワの1/72のFw190とYak-3のキットが手元にあったけど、Yak-3は完成したのにFw190はいつまで経っても進まなかった。ドイツ機には何も感じないってことだな」

「ぎゃふん」

「その証拠に昔撮影したYak-3の雄志を見よ」

Yak-3

「じゃあ、君がすきなソ連機は? Su-27とか?」

「世間一般はシュトルモビクとか言うのだろうけど、おいらはMIG-3とかなあ」

「えっ。MIGって21とか25とかじゃないの? 3なんてあるの?」

「あるある」

「もしかして、日本機よりソ連機の方が好き?」

「かもしれない。零戦も途中で放り投げて完成してないしな。トーネードは完成させたのに」

「ひぇ~。零戦はトーネード以下かよ」