「というわけで、電撃ホビーマガジンのオマケのガンダム・ケストレルである」
「ケストレル?」
「イエス、ケストレル」
「なぜ君が好きでも無いガンダムを作るんだい?」
「好きじゃ無いから……かな」
「は?」
「いかにようにいじっても完成できなくても出来がどうでも後悔は無い。無いからいじれる」
「良く分からないな」
「さて、1つ気付いたことがある」
「なんだい?」
「上の写真の状態までニッパー1つで約20分。音を立てて形が組み上がっていくのは楽しかったぞ」
「そうか」
「だからさ。ブルマークのポインターもこれぐらいのペースだったんだよ、子どもの頃は」
「は?」
「このスピード感が楽しさだったんだよ。部品が多くて忍耐力を試されるようなキットはだから楽しくない」
「でもガンダムなら部品を増やさないと可動しないだろ?」
「それが間違いだ。可動なんてしなくでも良かったんだ」
「どうして?」
「手の中で組んでいると形が変わっていく。それだけで良かったんだ。だから動かない退屈なキットを組んだという意識は無いよ」
「うーむ」
「というわけで、この後は好きなように塗る、ペイントタイムだ」
「そこがいちばん楽しいんだね?」