「2199年という年を聞かない予定の日に聞いた話をしよう」
「どんな話?」
「最初はヤマト無関係に思えるかも知れないが、まあ聞いてくれ」
「最後にどんでん返しが待っているわけだね?」
「不思議の海のナディアの裏番組に、江戸っ子ボーイがってん太助というアニメがある」
「うん」
「実はナディアよりこっちの方が面白かった記憶がある」
「異論がありそうだよ」
「ナディアで満足している程度のぬるい連中には、 がってん太助の行間は読めないよ。ただドタバタと馬鹿やってるだけにしか見えないだろうさ」
「ぎゃふん」
「だから、ナディアで満足できなかった人のためにがってん太助はあったと考える方がいいな」
「ハードルが高いわけだね」
「もっとも、低いハードルすら超えていないオタクは多かったけどな」
「ちょっとディープな元ネタの話が既に通じないってことだね」
「まあな」
「それで?」
「それはさておき、最近、日本アニメ特撮こてん古典というのを書いているわけだが、趣旨は2つある」
「どんな趣旨?」
「オレはこれだけアニメを見てきた上で語ってるんだ。なめてんじゃないぞゴルア、という意思表示」
「もう1つは?」
「TV放送されたばかりのアニメはDVDとか未発売だからアフィが上手く登録できないの。だから、過去に放送済みのアニメを取り上げれば商品を並べられて、売れればこっちにもおこぼれが……」
「儲かってるの?」
「ぜんぜん。ほとんど誰も読んでない。それ以前に、書いている本人が打ちのめされるぐらいの量で、網羅するだけで精いっぱい。1作1作熱く語るなんて無理」
「ぎゃふん」
「何しろ、1990年代のテレビアニメにやっと入れた段階だ。先は長いぞ」
「長いのか」
「そうさ。2000年代、2010年代が終わっても次はOVAとか劇場用だ。あと、特撮も扱う予定だがこれも別腹」
「いつまで続くんだよ」
「さあな」
「話を本筋に戻せ」
「というわけで、1990年代初頭に放送されたナディアの裏番組のがってん太助なのだが、実はそのストック原稿を書く際に奇妙なことに気付いた」
「なに?」
「中古DVD-BOXの相場がめちゃめちゃ安いんだよ」
「えー」
「2万円台なら分かるが、なんと全22話で二千円台で買えた」
「桁が違う」
「というわけで、そんな安く買えるなら買わないと嘘だろ、ということでオーダーしたよ」
「わーい」
「今日、現物が到着した」
「それで思い出は美しかった? それとも幻滅した?」
「最初はある程度幻滅することを予想した。特に印象の強いエピソード以外は凡庸かも知れないと思った」
「それで?」
「でも違った。特に印象に残らない第1話と第2話を見てしまったが、凄く面白かったよ」
「へえ」
「やはり作品に勢いがあるね。そういう時代だ」
「原作はコロコロ連載だろ? それなのに面白いの?」
「原作の掲載媒体はアニメの勢いとは何も関係ない。怖い奴は怖いし、かっこいい奴はかっこいい、可愛い奴は可愛い、可笑しい奴は可笑しい。第1話だけのつもりが2話まで見ちゃったから本物」
「むう。ところでそろそろ話をヤマトにつないでくれないか?」
「うむ第1話のアバンを見て最初の一言でひっくり返った」
時に西暦2199年。人類は輝かしい発展を遂げていた
その中で原子力に代わる新たなエネルギーとして通称OEDOが開発され、また同時に進行していた政府のOEDO計画と相まって新たな都市計画事業が展開された。
その動力源の全てを地下に求めて地上で人類の歴史の中でもっとも安定してたと言われる江戸時代を地盤としたここに、ニューハイパーシティ通称大江戸シティが産まれたのである
でもね、こんな超リアルな背景をぜんぜん無視して暴れ回っちゃうのがこのお話しの主人公
人呼んで江戸っ子ボーイがってん太助でい
「時に西暦2199年!」
「マジでそうナレーターが言ってたぜ」
「ひ~」
「そうそう。怪盗ラットマンの声は2199の佐渡先生の人ね」
「なんか2199で繋がってるよ」
オマケ §
「あとついでに開いた口が塞がらなかったこと。新番組を何も知らずに再生してみたら、田中政志のゴンを3DCGでやってた」
「田中政志?」
「昔、『冒険! ヴィクトリア号!!』っていう海洋帆船もののマンガを描いてた人だよ。ひと味違う人だった」
「それを今になってテレビで見られるとは驚きってことだね」
「そうそう。凄くビックリしたよ。あのゴンだったんだから」
「読んだことがあるの?」
「ちょっとだけ。あ、ゴンちゃん(「コミックボンボン」連載)の方かな」
「でも、番組がつまらなかったら意味ないじゃん」
「最初はつまらない動物アニメだと思って見始めたんだけど、つい釣り込まれて最後まで見ちゃったよ。原作にパワーがある証拠だ」
「ひ~」
オマケ2 §
「中古DVD-BOXの相場がめちゃめちゃ安いんだよ」
「安い理由は何かあるんだろ?」
「全部5枚組なんだが、実は通常サイズのケース2個に収納されている。2枚入りパッケと3枚入りパッケのセット」
「それは安そうだ」
「でもさ。付属の解説もほんの数ページで薄いけど、キャラ設定と放映リスト(各話の主要スタッフ付き)が網羅されていて、けっこうマニアックだった」
「再生すると警告にルビが振ってあるよ」
「子供を意識してるけど、だからといって大人の本気が無いわけではない」
「大人の本気は行間に見えるわけだね」
ギャラクシーオマケ §
「ヤマト特番を見るためにMXを見る環境を整えた」
「整える必要があるの?」
「デジアナ変換だとチャンネルが違うんだ」
「へー」
「で、なぜかMXでギャラクシーエンジェルをやってたので見てしまった」
「なにそれ?」
「傑作選らしいが、初期のは見てないので新鮮だ」
「どんな風に?」
「エンジェル隊に来る新人隊員が千歳烏山もとい烏丸ちとせじゃなくてミルフィーユ・桜葉なんだ」
「それで? 何の関係があるの?」
「本編が終わった後のCMにヤマト2199が入った。いやー、いいものを見せてもらった。不意打ちだよ。まさかギャラクシーエンジェルでヤマト2199のCMが入るとは思わなかった。見てて良かった」
「本編よりCMに喜んでるよこの人」