「昨夜のSPACE BATTLESHIP ヤマトテレビ放送のもっと外枠の感想としては、馬鹿なオタクホイホイとして機能したこと」
「馬鹿なオタクホイホイ?」
「何もかも100%の完全な映画なんてありえない。そういう意味でどの映画にも妥協点はある。それでも、見所はしっかり作ろうとする。だが、馬鹿なオタクというのはそういう大人の事情を一切斟酌しないし、見所を見ようともしないで、ひたすらアラ探しに邁進する」
「じゃあ、ひたすらアラ探しに邁進したオタクが多かったってこと?」
「そうだな。そんなオタクがやたら目に付いたぞ」
「えー」
「本人は世間で人気のあるSPACE BATTLESHIP ヤマトを叩いて、もっとオレは優れているとアピールしたいのかも知れないが、むしろ『何も分かってないガキ』という印象を強めただけだ」
「それって」
「日本ってダメな国だね、オタクって底が浅いね、という印象だけを残した」
「ひ~、それは厳しい」
「というわけで、トモネコさんからのメッセージだ」
名前: トモネコ
SBヤマトがTV放送されますね。
復活編がSB効果で再注目されたように、今回は2199効果でSBヤマトが、再評価されて欲しいと思います。
木村さん主演で必要以上にバッシングされたと思います。
(私は木村さんは素晴らしかったと思います)
それではまた
「これがメッセージの本題では無かったがこっちの方が重要だった」
「なぜ?」
「それに関連する話題があったからさ」
「えー」
「じゃあ公開予定の順番を入れ替えて本文いくで」
「旬の2199の話題を差し置いちゃうのかよ」
「これも2199の話題のうちだ」
「レッツラゴー」
本文 §
「補足的に追加するんだけど」
「うん」
「復活編の時にちらちら見えた罵詈雑言。SPACE BATTLESHIP ヤマトの時にちらちら見えた罵詈雑言。実は2199には見えてこない」
「なぜだろう?」
「はたと気付いたんだ」
「何に?」
「今時のマニアから見て、西崎監督は部外者なんだ。だから何でも言える。山崎監督も主演の木村拓哉さんも部外者。だから何とでも言える。何を言ったところで自分に致命的に返ってくるリスクはとても少ない」
「そうだね」
「でもさ。2199になると状況が一変するんだ」
「どうして?」
「出渕監督は彼らから見て部外者じゃないからさ」
「えー」
「マニア層のバックグラウンドにはガンダムがあって、ガンダムのデザインを叩き直して、単にディティールを細かくするだけでなくバランスや解釈までいじってより現代的に直す方法論を確立したのが出渕裕さんの決定的な功績。結局、その方法論の上で今の今ままでガンダムは延命できたと言える。そうじゃなきゃ、とっくにデザインが古くなって終わってる」
「じゃあ、ヤマトはどうなんだよ。とっくにデザインが古くなってないのかよ」
「そこはまた話が違う。ヤマトは実は産まれたときからデザインが古い。基本形が戦艦大和だからね。だから細部を未来的に直すしか基本的に方法論が無い」
「開き直ってるのか!」
「ともかく、ガンダムのデザインは基本的にヤマトより現代的になろうとしたために逆に古くなりやすくなってしまった」
「大河原デザインがイマイチ古いってこと?」
「そうじゃない。ヤッターワンとか古くなっていない。今見ても格好いいと思えるよ」
「じゃあ、何が問題なんだ?」
「大河原デザインの長所は動物との親和性にありと見た」
「なんか動物アニメ大好きなロッキーチャック派が来たよ」
「エクスカイザーでも胸に動物の顔が来る。リアル系のはずのガンダムでも、実はホワイトベースは四つ足動物っぽいフォルムになっている。いかにもそのまま四つ足のロボに変形しそうな形状だ」
「じゃあいったいなんだ?」
「だからさ。犬+鋲でワッターワンというメカができても、それは古くならない。犬というコンセプトは、時代を超えちゃうからだ。でも、リアル系だと時代と密接しちゃう。イーグルを『最先端』のイコンとして扱ってしまうとラプターの時代には古びて見えてしまう」
「そうか。遺恨が残るわけだね」
「だからさ。そこで、コンセプトをF-15SE(サイレント・イーグル)に置き換えてデザインのバランスを叩き直して延命させるという方法論を取れるが、まあその手の方法論を過去に確立しているわけだ」
「大恩人だね」
「しかも、スタッフになぜかマニアが大好きな0083の今西さんとか、ガンダム界でもそれなりの成果を上げている人たちがいて、しかもみんな目の色を変えて本気だ。これではマニアもうかつに2199叩きできない。彼らが2199を叩けばまわりまわって自分まで叩かれかねない」
「なるほど」
そして §
「でもさ。よくわかった。以下のタイプの発言の遠因」
- 2199があれば復活編は要らなかった
- 2199が話題の今、SPACE BATTLESHIP ヤマトのことなどみんな忘れ去れている
「どういうこと?」
「だからさ。叩けるんだよ。無意味なヤマト叩きは未だに可能だ」
「無意味な?」
「そう。根拠も薄弱で、舐めているという以上の根拠も定かではない無意味なヤマト叩き」
「で?」
「2199さえ褒めておけば他のヤマトはいくらでも叩ける……と彼らは思ってる」
「じゃあ、君はどう思ってるんだ?」
「DC版が出たばかりの今、新しいBDを買ったばかりでまさに復活編の価値を承認したばかりだ。要らないなんて暴言を認める気は無い」
「SPACE BATTLESHIP ヤマトは?」
「2199のミッションの1つは、解釈においてSPACE BATTLESHIP ヤマトを超えることだ。後発である以上、違う解釈で矛盾を解決しなければならない。だからさ。2199以外の他の作品と比較して、特にSPACE BATTLESHIP ヤマトと比較して解釈がどう違うかを意識しながら見ている。そゆえに、SPACE BATTLESHIP ヤマトは常に意識の上にある。忘れるのと全く逆。逆に強く意識している」
「違う解釈で矛盾を解決ってどういうこと?」
「うむ。たとえば、古代と島が火星で訓練しているといっても、先生もおらず地球ですらあの惨状なのに火星にいるのも不自然すぎる。その矛盾を解消するために、SPACE BATTLESHIP ヤマトではそのシーンを地球に持ってきて、古代の立場も大きく変えた。島も出てこない。古代がそこにいた理由も変化した。それに対して2199は古代も島も出した上であくまで火星で起こるようにするために古代と島がそこにいる理由を別の目的に変更した。SBヤマトより少ない変更で乗り切ろうとした。時間的にも2199の方が長いので、もっと工夫できる余地が広い。だから、両者は比較しながら見ないと意味が無い」
「そうか。じゃあ、これで印象を新たにしているのだね?」
「そうそう。普通はそういう成り行きでしょ、と思う」
「そうか」
「……けどおいらの普通は彼らの普通とは同じではない」
「普通が違うと何が起こるの?」
「だから左手で握手しようとしたりするわけだ」
「バッフクランだね」
「ビーメラ星に行けば地球人もガミラスの仲間だ」
オマケ §
「ビーメラ星に行けば地球人もガミラスの仲間だ」
「仲間かよ」
「ああっ!」
「なんだよ」
「だからさ。肌色のシュルツガンツもガミラスの2級市民という設定だとすると、肌色の地球人もガミラスの仲間に自然に見えるんだよ!」
「えー」
オマケ2 §
「氷川さんの露出は凄い。想像を絶する。ミスターヤマト2199、プロフェッサー氷川と呼ぼう」
「どれぐらい凄いの?」
「説明しよう」
- 4/6に「アニメびぃ~と」を見た。氷川さんが出ていた
- 4/6にファミリー劇場ヤマト2199特番を見た。氷川さんが出ていた
- 4/6にMAG・ネットを見た。氷川さんが出ていた
「なんと1日に3回も全く違う番組に出ていた」
「えー」
「全く違うチャンネルの違う趣旨の番組なのに、ヤマト特集を見ると全部氷川さん登場」
「なんと」
「さすがにこれで打ち止めだよなと思った」
「だろ?」
「でも違った」
- 4/7に劇場パンフを買った。総監督より前のページで氷川さんが書いていた。
「ぎゃふん」
「しかし、既に氷川さんの語り口は既に歴史の先生。でもそれでいいと思う。ヤマトは既に歴史の問題として扱うべきもの。善し悪しを論じることに意味は無い。過去の事実は過去の事実として承認しなければならない」
「そこは重要なの?」
「そうだ。今まさに知りたいのは、ヤマトそのもののことではなく、ヤマトとは社会的に何であったのかという点だ」
「2199年のヤマトじゃなくて、1974年のヤマトってことだね」
「その点で、ヤマト2199は2012年のヤマトであって、1974年のヤマトが見えにくい。逆に復活編は2009年のヤマトに徹することで逆に1974年のヤマトに通じている」
「ヤマト2199はダメってこと?」
「そうは言わない。2012年に売る商品である以上、1974年のリアリティでは作れない」
「でも、そこは氷川さんの語りとは僅かにすれ違っているわけだね?」
「そうだ。でもそれでいい。プロフェッサー氷川の語りは、商品とはやや違う位置にあるものだからだ」
「どう違うんだよ」
「強いて言えば、ヤマト2199は商品だが、プロフェッサー氷川の語りは1974年のアニメをリメイクする理由付けについての理論武装だ」
オマケIII §
「ヤマトは既に歴史の領域に片足を突っ込んでいる」
「それがどうした?」
「だからもうちょっとしたら、2012年の2199すら歴史として振り返る日が来る」
「するとどうなるの?」
「2012年を思い起こせ!という趣旨の特番とか作られて、タイトルはフラッシュバック2012とか」
「ぎゃふん」
オマケボンバー §
http://twitter.com/#!/Ryu_Hikawa/status/190085910585544706より
『Xボンバー』はパイロット版がすばらしくて、てれびくん編集部でも、うちの大学の学祭でも16ミリかけたりしてたのだけど、「なんでDVDに入ってないの?」「フィルムがないらしいです」という衝撃の会話が……。何本も焼いたはずだから、ネガはともかくプリントはどこかに残ってないのかなあ。
「なんですとー」
「なんだよ」
「Xボンバーのパイロット版は凄く良かった。あれに痺れたんだよ。なのに残ってないのか」
「Xボンバーって、なんかシオシオな人形劇じゃなかったっけ?」
「TV放映されたのはそう。でも、その前に作られた版は凄く良かったの」
「なんですとー」
「ヤマトをおいかけてとんでもないものを見つけてしまった、どうしよう」
「無いものはどうにもならない」
「奇跡のフィルム発掘に賭けよう」(そのあとの展開を見るとどうもフィルムは残っているらしいがDVDには収録されていないらしい)
「ヤマトのパイロット版は無いの?」
「ある。けど版権の都合で音楽が違っているらしい」
オマケロスIII §
「マクロスのパイロット版は無いの?」
「それは『私の彼はパイロット』」
「違うと思うぞ」
「ルダ王女、ここに何をしに……」
「私も一言言いたくなりました」
「いったいなんと?」
「私の彼はパイロット」
「マザーシャルバート!」