「クビがまわらないので、見たかった映画もほとんど諦めた。ホームズも続篇が出たら見ようと思っていたけど諦めた」
「でも、僕達急行だけ見たのはなぜ?」
「これだけはどうしても見たいと思ったから。それだけ」
「またしても、深い意味は無し」
感想 §
「中身はどうなんだい?」
「基本的にいい映画よ。普通の映画なら失敗続きの挫折人間が成功しておわるのだが、この映画は成功が中盤に来る。仕事は上手く行くが女性関係で失敗して男が2人で旅行をして終わってしまう。そういうほろ苦い映画なのだな」
「それがいいの?」
「何もかも上手く行く映画よりずっと面白いだろう。というか途中で誤解した。何もかもご都合主義で上手く行って終わる映画かと思った。でも違った。これで終わるのかなと思ったら、その先が延々と続く」
「そうか」
「特にいいのは、九州で扇形機関区の廃墟を見るところだな。グッと来る。おっさんが、いもしないハチロクが見えると言うのが更にグッと来る」
「ハチロク?」
「8620だよ」
「さっぱりわからん」
「キュウロクかハチロクかって感じで日本全国に山ほどいたが、最近だとちょっと前まであそBOYで走っていただけだな。九州だ。そういう意味で九州人の鉄道マニアが幻視するのにハチロクは理にかなっている」
「さっぱりわからん」
「あといいのは、部屋探し。最初は京王線沿い。小田急線沿い。最後は京急。つまり多摩川を京王線から順番に南下しているわけだ」
「えー」
「あとさ。工場の息子の携帯の着メロが京急のVVVFの音階なのもいいね。京急好きなら絶対あの音だろ。わはははは」
「さっぱりわからん」
まとめ §
「というわけで、森田芳光監督の遺作とは残念である」
「そうか」
「ちなみに、九州電力の社員をシャレで名乗るシーンは、明らかにプレ311世代の脚本だね。311以後だと、電力会社は悪者扱いだ。しかし悪者扱いしないのは好感できた」
「中身はどうだい?」
「ハッピーエンドに至るように見せかけて、完全なハッピーエンドにしないところが好感を持てた。中身もぶっちゃけ面白かったしね。TOHOシネマズ府中のプレミアスクリーンで見たから椅子も良かったし。楽しかったよ」
「客の入りはどうだった?」
「1/3ぐらい席が埋まってたかな。割と多かったよ。そこそこ手堅い人気があるみたいだ」
「君の左右にも客がいた?」
「いや。最前列は自分1人。前にも横にも誰もいない状態でしっかり見た。しあわせ」
追記 §
「印象的な扇型機関区はおそらくここ。久大本線豊後森駅の豊後森機関庫らしい」
「何を調べとるんじゃ!」
「ロケ地」
「関西以西に在住なら現地を見に行きたいぐらい、映画の中ではいい場所だったな」