2012年05月01日
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今語るべき宇宙戦艦ヤマトと宇宙戦艦ヤマト再入門全集インターミッション感想

Written By: トーノZERO連絡先

「以下の2冊のおおざっぱな感想を語ろう」

  • 今語るべき宇宙戦艦ヤマト 地球防衛軍戦史編纂室
  • 宇宙戦艦ヤマト再入門全集インターミッション ウルトラマン私設FCスタビライザー

「どうだった?」

「要約すると実は両者とも傾向が似通っている」

  • シリーズ全体の俯瞰を構成の基本に置いている
  • ビジュアルに対する志向が高い
  • 同一作に対する毀誉褒貶が激しく極端にぶれている
  • ヤマトの突っ込みどころを論じているが、論じている側の突っ込み余地もけっこう大きい

「じゃあ、君の解釈はどうなんだい?」

「2199で新規参入するファンを意識して、入門書的な内容を志向しているが、全体として評価も解釈も一貫しておらず不親切……と思う。というか、かなり痛烈な批判を含む本を見て、それで初心者がヤマトって良いものだと思うのかは分からない」

「ベテランが見た場合はどう思う?」

「論点がやや古い気がする。それは良い作品か、古代の判断は正しいか、という論点は既にクリア済みという気がする。たとえば、新たなる旅立ちで敵の正体も分かっていないのにデスラー側で参戦したことは判断として正しいのかといえばそこは不明確だ。というか、古代の判断に甘さがあると言っても良い。しかしながら、そこは既に論点ではない。判断ミスも物語を構成する一要素であり、判断ミスだからといって物語から排斥されるものではない。そのような観点から見れば、『なぜその判断ミスが物語で描かれたのか』という背景の必然に論点は既に移行しているように思える」

「判断を間違っていてもいいの?」

「間違わない古代なんて、可愛くないじゃないか」

「ぎゃふん」

「海峡の出口があるのか無いのか見てこないから古代は可愛い」

であるからして §

「というわけで、この先の状況を予見しよう」

「どうなるの?」

「まず現在のファンはヤマトに甘いと思われる」

「なぜ?」

「ヤマトをやるサークルがそもそも少ないから、ヤマトをやったというだけで褒めてもらえた」

「それがどう変わるの?」

「2199を契機にヤマトが同人の定番になると、ヤマトをやるだけでは褒めて貰えなくなる。選別の時代に入るってことだ」

「じゃあ、この2つの同人誌はどうなるの?」

「結末は知らない。評価はファン層が決めることで、おいらが決めることではない」

「でも、選別の時代に入るってことだけは確実と思うわけだね?」

「事実もう雑誌の世界は入っている。ヤマト2199を扱う雑誌は多いが温度差が既にくっきりと出ていて、どれがお勧めなのかが明瞭に見えてきている」

「同人誌も同じ道を辿りそうってことだね」

「おそらく夏のコミケはヤマト本がかなり出るだろう。凄い本も出てくるかもしれないが、単なるブーム便乗のどうしようもない本も混ざると思われる」

「どうしようもない本って?」

「エロ本をトレースして森雪の顔を乗せただけのような本」

「ひ~」

「あるいはググれば一瞬で出てくるような古いトリビアを尊大に並べたり、偉そうに突っ込みどころに突っ込むだけだったり。突っ込むぐらい誰でもできるっての」

「誰でも突っ込めるのがヤマトなんだね」

「そうそう。国民皆兵ならぬ国民総突っ込み」

「ヤマト総受け」

「いや、それはきっと意味が違うから」

「艦首にヤオイ穴も空いてるし」

「それも意味が違うと思うし」

まとめ §

「最後にまとめてくれよ」

「ヤマトはまだ地球を出発したばかり。先は長い。同人誌の世界も長い目で見るべき」

「それって、中身が足りないってこと?」

「2012年のリアリティを持って2199に対応しているとはまだまだ言えない。これから出てくるであろう同人誌はおそらく違ってくるであろう」

「どんな風に違うのかな」

「艦長席にクラッキーがいるとか、艦長席でヒートガイ・ジェイが男を語ってしまうとか、そんな本かもしれない」

「実際はどうなんだ?」

「さあ。それは蓋を開けてみないと分からない。ただし、戦争を知らない若いファンから『うざい年寄り死ね』と言われないように、みんな気をつけてやってくれよ」

「どうすればいいの?」

「だからさ。昔のヤマトはこんなに突っ込みどころが……というエンターテイメントに徹するならいいけどさ。ヤマトに突っ込めるオレは賢くて偉いって態度はNGだろ。本人だけ楽しくてもまわりは引く」

「みんなで楽しくやらないとダメだってことだね」

「いや。若者置いてきぼりの世界は確かにあるけど、それは年寄りだけでこっそり集まってやろうね、ってことだ。BD-BOX見ながら」

「ひ~」

オマケ §

「くぅ~。なんか嬉しいな」

「何が?」

「ヤマトはまだ地球を出発したばかり、と言いきれる時間感覚。1974年当時は圧倒される一方でそこまで言える余地はなかった」

「それにどんな意味があるの?」

「未来は未知だ。この先何が待っているのか全くワカランよ」

「2199の26話の構想はほぼできているはずだろ?」

「2199が開いた扉に先に何があるのかは、行ってみなくちゃ誰にもワカランのよ」

オマケ2 §

「いや本当に夏コミは行こうかと真剣に考えている。最近コミケは行ってないから、行けば久々だ」

「そんなに画期的?」

「夏コミのスケジュールは自分のカレンダーに書き込んだ」

「それで?」

「ヤマトは何日目なのかな。それが分かったら行く日を絞り込もう」

オマケIII §

「本当に物語に判断ミスがあってもいいの?」

「いいぞ。たとえば判断ミスで勝機を逸した史実の作戦だってドラマになる」

「えー」

「だから、判断ミスはドラマの構成要素であって、排斥するものではない」

「ほんとかよ」

「デスラーの賛同が得られると思ってバラン星基地を囮にしたドメルだって同じ事だ。実際は賛同が得られなかった。完全に判断ミスをしている」

オマケ2199 §

「ヤマトをやるサークルがそもそも少ないから、ヤマトをやったというだけで褒めてもらえた」

「だからどうした?」

「資料性博覧会05でも、中身を見ないでヤマト本は2冊とも買った。おいらも超甘い」

「ひ~」

「でも、2冊だから買えたけど、もし20冊あったら全部は買えない。どうしても選別が入っちゃう。これはやむを得ない」

「じゃあ200冊だったら?」

「何も買わずにすごすご逃げ帰る」

「2199冊だったら?」

「2200冊目に祝いの餅をプレゼント。そのための餅つきは許可する」

「食糧事情は乏しいのに! ってか許可するって、自分で進呈するのではなく相手につかせるのか」

オマケ1945 §

「ただし、戦争を知らない若いファンから『うざい年寄り死ね』と言われないように、みんな気をつけてやってくれよ」

「おーい、君も戦争を知らない世代だろう」

「馬鹿にするな。ベトナム戦争には間に合っていて、日本国内でも反戦運動とかあったんだぞ」

「そこかよ」

「あと、アニメンタリー決断の本放送にも間に合って見てるし」

「ひ~」

「ついでに店頭で商品が並ぶのを見たという意味で、ウォーターラインシリーズの誕生にも立ち会っている」

「ひ~」

「それまでの船舶模型はほとんどフルハル。そのあと、静岡4社以外まで1/700ウォーターラインモデル一色になったのは本末転倒。マッチボックスまでウォーターラインモデルを出していたのは目が点だった」

「それじゃ、戦争を知ってるとはぜんぜん言えないぞ」

宇宙戦艦ヤマト

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