2012年05月20日
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なぜ今時Power PCのMacに熱烈な引き合いがあるのか

Written By: 川俣 晶連絡先

「買った後数回しか電源を入れなかったPower PCのMac miniをオークションに出した」

「古すぎだぞ。今時のアプリは1つも動かないだろう」

「そうだ。だからこんなものに値段が付くわけ無いと思って放置していた。でも、中古ショップでいい値段が付いているのを見て考えを変えた。HDDをリカバリして中身を消してオクにだしてみた」

「それで?」

「だしてすぐ入札があった。これはびっくりだ。無駄に値段が上昇するから、終了間際にバトルになるのだろうと思っていた」

「熱心ってことだね。でもIntel Macと互換性の無いPPCのMacにどうして熱意があるの?」

「そう。そこだ」

「何か気付いたことがあるの?」

「98と同じだよ」

「えっ?」

「PC-9801シリーズの中古市場も熱かった。なぜだか分かるかい?」

「それも古いじゃないか。今時のアプリはほとんど動かないぞ」

「だからさ。専用のソフトやカスタム周辺機器の寿命が尽きていないんだよ。そこで必要とされるのは、それらを利用できる本体。メーカーがもう作っていなくても、専用システムのパーツとして使われるパソコンは無くてはならない。かといって、ソフトを書き直す金を掛けるのもあまり意味がない。まだ寿命が尽きていないから」

「ええと。もしかして、Power PCのMacも同じ理由で引き合いがあるってこと?」

「そういう仮説を考えてみた」

「Power PCでしか動かない古いソフトが必須のシステムがあって、どうしてもPower PCのMacが欲しい人たちがいるわけだね」

「そういう可能性もあり得る」

「つまり互換性が無いからこそ、需要があるってことだね」

「少なくとも98の中古市場はそうだった」