イスカンダルの本がここにあった §
「『イスカンダルと伝説の庭園』という本があった。Amazonで古書1円だったのでオーダーしてしまった」
「なんでそんなものを」
「本当は『宇宙戦艦ヤマト遥かなる星イスカンダルコミックアンソロジー』を古書検索で探していたんだが、イスカンダル違いでこっちにたどり着いた。わははは」
「そっちはどうなんだい?」
「アンソロは古書だけどかなり高価」
「そうか」
「ただ、当時見かけていたら買っていておかしくない本だけどなあ。忘れているだけか見なかったのか、そこは良く分からない」
「宇宙戦艦ヤマト伝説のように偶然掘り出されてくる可能性はあるのだね」
感想 §
「というわけで『イスカンダルと伝説の庭園』を読了した」
「感想は?」
「意外と面白かったぞ」
「イスカンダルってなに?」
「造園技師の名前」
「ヤマト関係無いのだね?」
「そう。原題もイスカンダルを含まない。翻訳を出すときに誰かが『主人公がイスカンダルなんだから、イスカンダルって書けば売れるんじゃ無い?』と思っただけのネーミングの可能性もあり得る」
「でも面白いの?」
「もともとの面白さとは関係ない話」
「具体的に説明してくれよ」
「主人公はイスカンダル。王様に命令されて世界1の庭園を造る話。でもさ。実はイスカンダル視点で話が進むのは序盤だけ。あとは別人の視点で話が進む」
「えー。それで主人公かよ」
「もちろん、それには意味がある」
「意味深だな」
「最後は、実は『イスカンダル人は全て死んでいた』的な驚きの結末が」
「は?」
「でなければ『放射能除去装置の話、あれは嘘だ』的な驚きの結末が」
改めて調べてイスカンダルの謎が解けた §
「イスカンダルないしイスカンダリアという呼称を見かける機会が(個人的に)増えてきたので、まとめ直した (WikiPedia等を引きまくってまとめてみた)」
- イスカンダル(Iskandar)とは本来アレクサンドロス(Aliskandar)大王のことである
- イスカンダルと呼ばれるようになったのは、語頭のal-が定冠詞と勘違いされたから
- 現在でもアラビア語では定冠詞をつけて al-Iskandar と言うのが普通である。つまり、「アル・イスカンダル」の呼称は「あり」
- アレクサンドロスは西アジア地域でも英雄として記憶されたため、古代の英雄に基づいた人名として男性名に好んでつけられる
- 従って、イスカンダルが男性主人公名の小説があっても何ら奇異では無い
- アレクサンドリアとは、アレクサンドロスが自分の名前を残した都市
- 文語のフスハーではアル=イスカンダリーヤ (al-Iskandariyya)。アル・イスカンダリアと呼んでも差し支えないだろう
- 従って、魔法先生ネギま!のアーティファクト「アル・イスカンダリア」とはそれそのものである
- 大日本帝国超弩級空中戦艦大和の行き先がアル・イスカンダリアであるのも明示されている通り同じ
- 名前の由来は、SF設定の豊田有恒が、インド語の『アレキサンダー大王』から名づけたと語っている
「これに一体どんな意味があるの?」
「つまりだな。宇宙戦艦ヤマトの原型物語は『西へ行くんだ、ニンニキニキニキニン』という意図が入っていたのだ」
「意味が分からない」
「つまり、ヤマトは有り難いお経を取りに天竺に行くわけだ」
「天竺?」
「アレクサンドロスは、小アジアからエジプトを支配した。アレキサンドリアはアレクサンドロスが遠征中に自分の名前にちなんで名付けた都市でありエジプトにある」
「それで?」
「問題は、アレクサンドロスがイスカンダルの語源とするなら、征服国家が妥当ということだ」
「それは滅びを受け入れたイスカンダルに似合わないよね」
「だからさ。アレクサンドリアだと思えば征服者ではなく被支配都市なのだ」
「えー」
「エジプトといえば、クレオパトラが連想されるが、これがスターシャに連なるイメージなのだろう。アレクサンドリアに住んでいた」
「バビルの塔に住んでいるんだね?」
「アレクサンドリアだっ!」
「それで?」
「うむ。だから、滅びを受け入れるような墓だらけの土地つまりエジプトこそがイスカンダルだったのだよ」
「そうか」
「そして、イスカンダルにたどり着く前には、征服民族が立ちはだかる。そのリーダーは強い征服者であり、ヒトラーというよりアレクサンドロス的なキャラだったのだ」
「えー」
まとめ §
「というわけで、女王がいるという理由でイスカンダルをイギリスに比定して、デスラーとヒトラーのイメージが似ていることからガミラスをドイツに比定したが、ヤマトの初期物語の構造としては否定された。イスカンダルはエジプトだ」
オマケ §
「ここに来てからイスカンダルの王族を他に見ません。みなさんどこに?」
「ここです」
「えっ。ここは王家の谷のはずじゃ」
「ですから、王家の墓がここに集まっています」
海峡はどこか §
「九州沖から浮上して出発したヤマトは西に向かう。途中で海峡で足止め刺されるが、マラッカ海峡だろう。中間地点バラン星がマダガスカルあたり。孤独な海に浮かぶ巨大な島だ。そして、ビーメラ星はアフリカのあたり。搾取されている構造がそのもの。独立運動が起こっちゃうわけだ。そして、アニメではカットされた小マゼラン星雲に迷い込む展開はアフリカの南端を回ってエジプトを目指す経路なんだろう」
「それで?」
「地中海に入ってアレクサンドリアに到着間近と思ったら、そこで小アジアに連れ込まれて本土決戦を強要されてしまう」
「えー」
「空洞惑星は黒海あたり。小さい出口があるだけで、中に入ったら袋のネズミ」
「まさか」
「帰りは敵が消えたのでスエズ運河が使える。だから、あっさりすぐに帰れる。往路に25話使ったのに帰路は1話で十分」
飛んでオマケ §
「飛んでイスタンブールをもじって飛んでイスカンダルと言われたが」
「それが何か?」
「黒海の入り口がイスタンブールなんだね」
オマケ同祖論 §
「日ユ同祖論というのがあるけど、要するに地球とガミラスとイスカンダルは共通の祖先を持つという設定に似たようなものだな」
「ぎゃふん」
「ところでWikiPediaで日ユ同祖論を見て焦ったぞ。ヤマト用語が出てきたから」
「それは何だよ」
「こんな見出しがあった」
「たぶんそのヤマト言葉は、君が考えたヤマト言葉とは違うと思うぞ」
「ふふふ」
「しかし、日ユ同祖論って一種のトンデモじゃないの?」
「だとしても関係ないね」
「なんで?」
「フィクションの宇宙戦艦ヤマトのバックグラウンドがたとえフィクションにあっても、別に困ることはない」
「ぎゃふん」
オマケ同祖論2 §
カムヤマトイワレビコスメラミコト(初代神武天皇の和風諡号)
QMW・YMthW・a'VRY・VKWR・shWMRWN・MLKWthW =創設者・ヤハウェの民・ヘブル人・高尚な・サマリアの・王
「さりげなくヤマト混じってるよ!」
「やばいぜっ!」
また、アイデルバーグの『日本書紀と日本語のユダヤ起源』では、ヤマト= YH AMWthW との解釈が示されている。
「こっちは混じってるどころじゃなくて、ヤマトそのものだよ!」
「もっとやばいぜ!」
オマケ戦記W §
「やれやれ、終わった終わったと思って録画してあったダンボール戦機Wを見始めた」
「それで?」
「突然アレキサンダー・シスターズというキャラが出てきてひっくり返った」
「間が良すぎ」