「ヤマトの敵は本来ガンダムじゃない」
「どうして?」
「ヤマトが産まれたとき、ガンダムは存在しない」
「確かに」
「では何がヤマトの敵なのか」
「リア充?」
「ヤマトが産まれたとき、リア充という用語も概念も存在しない」
「じゃあ何だろう?」
- マジンガーZ (ロボットアニメ)
- アルプスの少女ハイジ (名劇)
- ゼロテスター (SFアニメ)
- 猿の軍団 (特撮)
- プロ野球
「凄く今時のオタクには理解できない用語が並んだぞ」
「だから作品成立のバックグラウンドが違いすぎるわけだ」
「えー」
「マジンガーZといっても、真マジンガー衝撃!Z編なんかを連想するとまるで違うし、スパロボのゲームを連想しても違うだろう」
「えー」
「Dororonえん魔くん メ~ラめらのジャンボマシンダー・ネタが、辛うじて触れているぐらいだな。しかし、とても意味不明だったはずだ」
「そもそも、なぜマジンガーとマシンダーに関係があるか分からないと思うよ」
「んん~。マジンガーと超合金の関係みたいなものかな」
「もっとワカラン」
オマケレンジャー §
「だからさ。敵が出てきて重妄想すると妄想の世界で戦っているけど現実の敵には何も出来ないアキバレンジャーの痛さは逆説的にヤマトの時代に回帰するとも言える」
「自分たちを客観視すると馬鹿馬鹿しく見えるってことだね」
「だからこそ、それには価値があるのだという論を成立させねばならないし、それは無関係の他者に通用するものでなければならない」
「アニメですら無いプロ野球見てる人にも届かないと意味が無いわけだね」
「そうじゃなくても、アルプスは子供騙しじゃないけど、宇宙は子供騙しと思っている人に通じる強い言葉が必要だったのだ」
「分かったぞ。ロボットが当たり前だと思っている子供には、『なんでロボット出てこないの?』に答える言葉も必要だったのか」
「まあな」
「特撮には、『なぜ特撮じゃないのか』という言葉も必要だったわけか」
「そうだ」
「今はかなり違うね」
「世界が認めて国策で推進される素晴らしい萌え文化を必死に訴える必要などないから言葉も衰退する。結果として、世界が認めて国策で推進されているにも関わらず、どんどん縮小再生産の一途を辿る」
「なぜ世界が認めた文化が衰退するの?」
「萌えの信奉者は世界のどこにでもいるが、世界のどこでも少数派だからさ」
「ぎゃふん」
オマケ2 §
0613より
本日発売のスケールアヴィエーション7月号、スウェーデン特集。
SHADOW OF DEATH、窓枠は透明デカールに機体色を塗装し、切りだして貼りつけ。細い枠を塗る手間が短縮できる。お試しあれ。
「その手があったか!」
「透明デカールって?」
「プリンタで印刷用に何も絵が乗っていないデカールという製品がある。未使用のがどっかに眠ってるような気もする。発掘して利用するかな。あるいは印刷済みのデカールの余白部分を使う手もある」
「印刷済みのデカールってなんだよ」
「昔ね。美少女デカール・アキナちゃんっていうのをワンフェスで売ったことがあるの。あまり売れなかったけど」
「美少女なら痛車愛好家とかが買うだろう」
「痛車ブームが来る何年も前で、そういう動きはまったく無かった時代。売ってもほとんど手応えが無かったよ。売れなかったし。だから在庫が残ったまま。まだ使えるかどうかも分からない」
「えー」
オマケIII §
「結局、オタクというのは自分の限界を自己規定してしまい。そこから出てこない人種なのだろう」
「つまり?」
「まず、遊び方の提案が受け付けられない。しかし、一度痛車というジャンルが成立してしまうと、同じようなデカールが突然売れる」
「それは自分が扱うものだという自己規定ができればってことだね」
「しかし、既に自己規定があるジャンルに新たに入っていってビジネスをするのも骨が折れるし、そもそもビジネス規模も小さいのでやる気が起こらない」
「そこか」
「そもそも売れるキャラがまったく分からないので、商品を作りようもないしな」
「萌えアニメをまったく見ない君らしい」
「ならば好き勝手に自分で模型を作ってワンオフの完成品にしていく方が楽しい」
「とことんマイペースな奴だ」
「既にオタクは死んだのだ。死んだ相手は何も買ってはくれない」
オマケのオマケ §
「だからさ。あなたがソフビの怪獣が好きであってもそれはそれでいいわけだ」
「誰に向かって言っている?」
「君では無い誰か」
「じゃあ、何を言いたいわけだ?」
「だからさ。あなたの趣味をとやかく言う気は無いし、間違っているという気は無いし、こちらの趣味の方が高尚だという気も無い。あくまで、私はキングジョーよりウルトラホーク1号が好きな子供だった。そのことだけはきちんと分かって欲しい、ということだ。それはあなたのウルトラセブン趣味とは違うかもしれないが、違いを無視するようなことはしてくれるな、と切に思う。私はあなたではないのだから」
「だいぶ痛めつけられた経験があるようだね」
「だからさあ。こちらの感想から言えば、ウルトラセブンは怪獣抜きならもっといいわけ。実はウルトラセブンすらいない方がウルトラ警備隊とウルトラホークは活躍できるわけでしょ?」
「屈折した趣味だ」
「だからさ。怪獣もウルトラ戦士もいないマイティジャックの方が好感度が高いわけ。ホーク1号はいないけどマイティ号があるし」
「その路線の行き着く先は何?」
「怪獣抜き、ウルトラ戦士抜き、巨大ロボット抜き、人間ありの宇宙戦艦ヤマト」
「関係ないと思ったらヤマトで締めた!」
オマケのオマケのオマケ §
「でも、バラノドンは一種の怪獣だよ。それはいいの?」
「いいぞ。結局バラノドンは現住生物であって、怪獣では無い。怪獣のように襲ってくるのはゲールの執念の具現化だ。やはり人に収束する」
「じゃあ、怪獣は否定されないの?」
「厳密に言うとそうだ。人と怪獣の関わりがメインになる限り、怪獣は否定されるものではない。人を描く名脇役になれれば最高だ。しかし、怪獣対怪獣、怪獣対巨大ヒーロー、怪獣対巨大ロボになるとその構造から人間が排斥されてしまい、見ているこっちが居場所を失う」
オマケのオマケのオマケのオマケ §
「だからさ。ウルトラセブンが好きという言説はとても危うい」
「どうして?」
「ホーク1号とかポインターがいかに好きであっても、世間では『怪獣もの』というジャンルでくくられる。だから、ああ怪獣が好きなのだな、と受け止められてしまうリスクがおおきい」
「それがリスクか」
「同じことはガンダムでも言える。ピエロのようなロボットが飛び回らなければ少しはマシなのに……と思っていても、ガンダムが好きと言うと、ロボットが好きという価値観に収束させられてしまう」
「難儀だね」
「その点で、ヤマトはいいぞ。せいぜい右翼と間違われる程度で済む」
「それはそれで難しいと思うけどね」
「でも、怪獣が好きとかロボットが好きとか思われないで済むのはヤマトの美徳だ」