カツオは武士だった。
ある日、ならずもの集団が暴れているという通報があったが、生憎と手が空いているのはカツオだけだった。カツオは、平民を守るため、ならずもの集団と対峙した。
「1人でどうする気だよ」
ならず者達は笑った。
カツオは刀を抜いた。
竹光だった。
またカツオは笑われた。
笑っているならずものの頭を、カツオは竹光でポカリと叩いた。
ポカリポカリ。
気がつくとならず者は半減していた。竹光に油断してみんな叩かれたのだ。
「覚えてろ!」
ならず者達は逃げ出した。
「この程度の雑魚なら竹光で十分」
この故事をみなはカツオのタタキと称して伝えたとか伝えなかったとか。
(遠野秋彦・作 ©2012 TOHNO, Akihiko)