「しまった。自分にも不得意分野がある。気づくのが遅れた」
「それはなに?」
「なぜ古代守の拳銃は2114年式の文字があるのか」
「なぜ?」
「これは14年式拳銃ってことだったのだ。もちろん2199年で西暦14年とか大正14年はあり得ないので、上の2桁は省略されていると考えられる。実戦に100年以上経過したビンテージ銃は持っていかないだろう、と思えば2114年式と思うべきなのだろう」
「えー」
「参ったなあ。2114って、1K×4bitのSRAMの番号だから、そっちを連想してしまったのが敗因だけど、ヤマトと関係あるわけが無い」
「なんでそんなメモリチップの番号を知ってるんだよ」
「だって、最初に自分のものになったマイコンのH68/TRのメインメモリだから」
「ぎゃふん」
14年式拳銃 §
「14年式拳銃って、そもそもなんだよ」
「これ」
「実在するのか」
「大正14年からな」
「古いぞ」
「ただし、2199のコスモガンは『97式拳銃(コスモニューナンブ)』らしい。古代守のとは違う」
生身の銃を持つ男 §
「君にも弱点があるのか」
「個人用の火器はさっぱり詳しくないぞ」
「あ、あそこにイングラムが」
「どこどこ。どこにそんなサブマシンガンが落ちてる?」
「新宿副都心に立つ巨大ロボットを目で探さないだけ、君もそこそこ詳しいよ」
「いや、ぜんぜん詳しくないって」
「じゃあ、ワルサーP-38といえば?」
「昔ヨネザワのエアガン持ってた」
「ルパンの銃と言わないところがやっぱりそこそこ詳しいよ」
「いや、ぜんぜん詳しくないって。エアガンなんてそれしか持ってなかったし」
「じゃあ、44マグナムといえば?」
「愛してナイトのキッスレリッシュのモデル」
「それがオチか。確かに銃器は詳しくないよ」