「これは興味深い」
「なぜ?」
「単純な誤植で片付けられない問題があるからだ」
「というと?」
「おそらく、元資料が電子ファイル化されていない。より厳密に言えば、文字コードで記述されるファイルになっていない。だから転記の際にミスが出やすい」
「どのへんが?」
「たとえば熊倉和雄氏→熊倉一雄氏といったミスは典型的な誤変換だが、誤変換が起きるのは変換を要する手順が入ったことを意味する」
「なるほど」
「それだけじゃないぜ」
「えっ?」
「これは絶対あり得ないというミスがある」
「たとえば?」
「倉持はん、これはどういうことでっか?」
「ゼロテスターを見ていたら絶対にあり得ないミス。だって、剣持キャプテンはかなり重要なキャラだもの。実はゼロテスターって、1号と主人公チームの扱いが軽い。テスター2号のミサイルで処理する、といった展開が多く、剣持キャプテンも単なる指揮官キャラより存在感がある」
「そんなに?」
「ガイキングで、ガイキングに乗っていないピート・リチャードソンに存在感があるのと同じだ」
「意味分からないよ」
「だからさ。倉持はんは分かるという意味で、2011年のTVドラマの南極大陸は見てるわけだ」
「1974年のゼロテスターは見てないけど2011年のTVドラマは見てるって、ヤマト1974が分からないぐらい若いってことだね」
「そういうスタッフも底辺では多く作業に参加した製品なのだろう」
「まさか」
「じゃあ、もう1つ例を出す」
「ドブーヌってそりゃ無いよ、セニョリータ」
「カトリーヌ・ドヌーヴ絶頂期に主演映画を見ていれば、さすがに絶対に間違わない種類のミス」
「つまり、カトリーヌ・ドヌーヴ絶頂期に映画をみていないわけ?」
「おそらく、もっと若いのだろう」
「なるほど」
オマケ §
「君はカトリーヌ・ドヌーヴ主演映画を見ているのかい?」
「『昼顔』を見ている。しかも2回も」
「園芸映画?」
「いや、人妻が旦那を裏切って娼婦になって他の男に抱かれる映画。最後は知り合いが客として来てばれちゃうのだ。わははは」
「他人の不幸を楽しそうに語るね」
「それもまた映画だ」
オマケ2 §
「あとこれもハニーのマニアなら絶対に無いね」
「埴輪のマニア?」
「そのハニーはランスのハニーだ」
「なぜ絶対に無いの?」
「キューティーハニー(初代アニメ)の最終回は、シスタージルを倒しても次はパンサーゾラが待っているという終わり方なので、立場がぜんぜん違う」
「そうか」
「でも生半可な知識あるいは半分忘れかけた曖昧な記憶で書くと間違うかもしれない」
「ここは、なまじ中途半端な知識がある書き間違いだと思うわけだね」
「だから、これは元資料のミスという可能性もある」
「ひ~」
「自分も、特に好きでも無いアニメだとどんどん記憶が曖昧になる。ガルーダはコンバトラーV前半のボスだと即座に言えるが、プリンス・シャーキンってどのアニメの悪役だったかなかなか出てこない」
「記憶がフェード・インしていくわけだね」
オマケIII §
「婆さんや、婆さんや」
「なんです。おじいさん」
「あれはコープランダー隊じゃったかのう、ソープランダー隊じゃったかのう」
「ライディーンはYMOに決まってますよ、おじいさん」