「1つ気になることがある」
「それはなんだよ」
「ミニスケール派なんだ。航空機は1/144がメイン。地上車両は1/76か1/72。その意味が分かるかい?」
「さあ」
「塗る面積が小さいのだよ」
「それに何の意味があるの」
「だから面積が小さい模型に塗ることが前提で機材が揃っている」
「だから、それがなんだよ」
「筆が小さすぎるんだよ」
「えー」
「もっと大きい筆が欲しいな。まあ塗料瓶のサイズに制限されるから、過剰に大きくても意味は無いのだけど」
「えー」
「というわけで、外に出る用事があったのだが朝が早くて大半の店は閉まった状態」
「筆が買えないね」
「西友に入って文房具コーナーで筆を漁ったよ」
「文房具コーナーかよ」
「ぺんてるの馬毛平10号を一本買ってみた。模型の塗装に耐えるのかは知らない」
「水彩用じゃないの?」
「水彩、ポスターカラー等と用途に書いてある。うちは水性ホビーカラーがメインだから、これで通ると信じて試してみよう」
「安物の筆で細かいところまで綺麗に塗れる?」
「細かい所を塗る筆には不自由してないからそこはいいんだ」
「ひ~」
だがしかし §
「しかし、即座に筆を実戦投入できないジレンマが」
「なぜだよ」
「組みたてないことには塗れないからだ」
「えー」
「くらじ軍曹さんは艦底を全部一体にする必要は無いと言っているが、こちらは一体にすることにした」
「なぜ?」
「筆塗りする場合、筆の勢いが連続した方が良いからだ」
「それっていったい?」
「赤い部分は全部一体に組んでから塗りたい」
「それで、一体に組むということでいいわけだね?」
「いや。まだまだ」
「えっ?」
「前後を結合してマスキングテープで固定して接着剤を流して固定しようと思ったのだけど、どうしても上手く決まらない。なのでこの方法はやめた」
「じゃあどうするの?」
「水平を決める2mm厚のプラバン上に艦底を逆さまにおいてそのまま繋いで接着剤を流して固定しようと思った。でも、こうすると思った以上に隙間ができることに気がついた」
「えっ?」
「これで正確な形状にできるか分からないのだが、ともかく隙間には溶きパテを流してみた」
「溶きパテなんて持ってたの?」
「このあいだ、塗料瓶ケースの中にあることを思いだしたばかりだ。リターダーもマスキングゾルもあるぞ。まだ使えるか知らないけど」
「ぎゃふん」
「実は、隙間を埋めるなんてことは滅多にやらない。それほど目立たないなら隙間があっても強行することが多い。だが、今回はちょっと目立ちすぎたので溶きパテを投入した」
「でも、それは吉なのか凶なのか分からない訳だね?」
「それが分かれば苦労はしない」
「もし凶なら?」
「また解体して削って作り直すだけだ」
オマケ §
「なぜ1/1000ヤマト2199にそれだけの手間を掛けるの?」
「なんかホラを吹きすぎて、後に引けなくなってしまった。しかも珍しく高い金を出して新作キットを買ってしまったので、それも無駄にできなくなってしまった」
「それだけ?」
「いいや、キットの出来が思ったほど良くなかった。欠陥を数えると実はけっこうある」
「どこに?」
「艦橋にもかみ合いの悪いところがあるし」
「えーっ」
「それでも後には引けないので、少しだけ粘って見る」
「意地のため?」
「いや、気持ち良く塗るため。色の設計は8割できているのだが、それにもかかわらず塗れないと悔しいじゃん?」
「ひ~」