「やっとゾンビ日記届いたぞ」
「やったね」
「入手するまでがドラマになるとはそれだけでお買い得」
「中身はどうでもいいのかよ」
「中身も面白かったぞ。何しろ一気に読み切ってしまったぐらいだ」
「世間では毀誉褒貶が激しいようだけど」
「そうだな。そこには微妙な要素はあるような気がする」
「具体的にはどんなこと?」
「実はこの小説はゾンビものではない」
「えっ?」
「立喰師列伝が民俗学の体裁を取りつつ違うのと同じ事だね」
「それは難しいね」
「難しくないよ」
「えっ? どうして? 押井守は難しいのでは無いの?」
「だってさ。この本の大多数はゾンビの話を書いていないのだから」
「えー」
「だからさ。押井守作品って冷静に見るとぜんぜん難しくないの。むしろ難しいという思い込みが読み手を難しくしているの」
「なんだよそれは」
「事実として半分以上はゾンビのことを書いていないのだから、そんなものだよ」
「じゃあ問題はどこにあるの?」
「タイトルがゾンビ日記だからゾンビの話に違いないと思うと裏切られるわけだ」
「じゃあ、タイトルは間違っているわけ?」
「そういうわけでもない。ゾンビであることには意味がある」
「詳しく説明してくれよ」
「読んでない人にはネタバレになるから語らないよ」
「買えと言うことだね」
「もっともこれを書いている今、Amazonは品切れみたいだけどな」
「えー」
「マーケットプレイスには在庫がある店もあるからそこにオーダーすれば買えるよ」
「ひ~」
「取りあえず星5つあげよう」