「ヤマト1974は、機械力に頼りすぎて隙だらけのガミラスに、科学技術で劣る地球人が生身の身体で勝ってしまうという寓話なのだ、とすれば2199はあまりその寓話のリメイクになっていないのかも知れない」
「突然目から鱗が落ちた!」
「なんだよ」
「ヤマト1974の冥王星海戦を思い出せ」
「うん」
「最初に発砲したのはどっち?」
「ガミラス」
「当たった?」
「いや、沖田艦の上をビームが通過した。外れ」
「地球側は?」
「ゆっくり狙って沖田艦が撃った。でも弾かれた」
「そうだ」
「それにどんな意味があるの?」
「ガミラス側は機械力に頼ったのだよ。つまりよく狙わないで撃った」
「地球側はしっかり狙って撃ったわけだね」
「そう。ガミラス側の射撃ドクトリンは、おそらく以下の通りだ」
「なぜ確率的な命中を狙うわけ?」
「いい質問だ。回避運動する敵を狙って撃っても当たらないからだ」
「沖田艦が回避運動していたようには見えないよ」
「それだけの能力が無かったのだろう」
「なら、なぜドクトリンはそれを想定した内容じゃないの?」
「ドクトリンは基本原則であって、特定の敵を想定したルールでは無いからだ」
「えー」
「一方で、地球側の射撃ドクトリンは以下の通りだ」
- 一撃必中
- 無駄弾を撃つな
- よく狙え
- 相手の回避パターンは読み切れ
「ガミラス艦も回避していないように見えるよ」
「圧倒的に優勢だと分かっているなら回避機動などしないだろう」
「なぜ?」
「動き回ると照準が狂うからだ」
「外したよ」
「あの程度の照準でも狂うと嫌なのだ。なぜなら沖田艦の上に外したということは、次は下に修正すれば当たる確率が上がるからだ」
「事実当たってシアンガスが発生したね」
「そうそう。レーザー砲も動力ストップした」
「つまりどういうこと?」
「ガミラスの射撃ドクトリンにもそれなりに合理性はあるのだが、地球側の艦艇の性能が低すぎてドクトリンが上手く機能しなかった」
「ヤマトは?」
「撃たれ強いと言うだけで、実はそれほどの高性能艦でもない。特に数が圧倒的劣勢であり、普通に行ったらまともに戦えない」
「まともに戦ったらガミラスのワンサイドゲームで圧勝ということだね」
「でもそうはならなかった。なぜなら、ガミラス軍のドクトリンは対等の敵との交戦を前提したものであって、地球やヤマトのような劣勢の相手を前提にしたものではなかったからだ。劣勢である以上、相手は正面装備ではなく奇策で対抗するが、奇策で来られたときの対策が十分ではなかった」
更に言えば §
「実はシュルツは正面装備での戦いに固執した。艦隊を囮にして反射衛星砲で仕留めようとした。アステロイドベルトでも正面から攻めた」
「そうだね」
「デスラー機雷もやはり正攻法」
「うん」
「ガミラス側で最初に奇策を使ったのはデスラーでガス生命体を使った。でも失敗した。奇策は失敗すると脆いからだ」
「それから?」
「しかし、ガス生命体の失敗はまだしも可能性のある失敗だった。正面から攻めるよりもヤマトを苦しめられることが分かった。だから奇策を使えるドメルがバランに派遣されたわけだ」
「ドメルの奇策?」
「人工太陽をぶつけるとか、瞬間物質移送機とか、ドリルミサイルとか、発想がガミラス人にしてはぶっ飛んでいる」
「なるほど」
「バラン星も七色星団も幸運以外にヤマトが勝った根拠は存在しない」
「ひ~」
「そしてもう1人の奇策の使い手がデスラー」
「ガミラスの本土決戦だね」
「ガミラス星に取り込むというのも奇策なら、天井都市のビルをミサイルにするのも奇策」
「でも失敗したよ」
「奇策は失敗すると脆いからだ」
「ギャンブルってことだね」
「ギャンブル勝負でガミラスは沖田に負けた。そういうことだろう」
「分かった。ギャンブル勝負になった瞬間、勝てないはずの地球とヤマトに勝機が出てくるのか」
ガミラスの勝機 §
「実は1つだけガミラスに勝機があることに気づいた」
「どこ?」
「ガミラスが何をやっても、ヤマトは奇策ですり抜けてしまう可能性があった。だから奇策には奇策をぶつけるしかなく、そこでギャンブル勝負に陥ってしまう面が生じた」
「そうだね」
「ところが1回だけヤマトが奇策ですり抜けられないケースがあった」
「えっ? どこ?」
「七色星団だよ。あそこは正面から挑戦状が来て、ヤマトは受けた。嘘つき、卑怯者になりたくなければ、ヤマトは七色星団に行くしかない。そこで、正面装備のみの物量戦に持ち込めばガミラスはヤマトに勝てた。なまじドリルミサイルという奇策を使ったために、反撃のチャンスを与えてしまったのだ」
「でもヤマトには波動砲があるよ」
「大丈夫。ゲール艦隊に波動砲を撃たせた後で待機していたドメル艦隊でヤマトを仕留めれば良いだけだ」
「波動砲は連射できないわけだね。ってか、それってひおあきら版そのもの」
「だから、ひおあきら版ではそこでハーロックが助けに来る。ヤマトでは勝てないのだ」
オマケ §
「テレビを付けたら佐渡先生(女)がいきなり出てきた」
「実写版はそれがあるわけだね」
「ヤマトに全く関係ない番組でも、ヤマトに出た役者が出ることがあり、サプライズになる」