2012年10月01日
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感想・映画「アイアン・スカイ」【ネタバレ注意】

Written By: トーノZERO連絡先

「8月末まで続く予定だったハードなお仕事モードが9月末まで続いたが、ともかく9月末で終わりにした。時間の都合で9月は映画もろくに見られなかったので、10月1日は絶対に映画に行くぞと決めていた」

「映画を見るのが先なのね」

「そうだ。映画を見ると決めるのが先。毎月1日なら1000円で見られるから」

「なぜこの映画を選んだの?」

「実は上映中の気になる映画が4~5本以上あったのだが、見たい映画を全て見るのは無理だととっくに諦めている。Twitterで島田満が誉めていたのを見かけたような記憶があるるろうに剣心(実写)とか。その中で、たった1本見るとしたら、どうしても見ておくべき映画はこれしか無いと迷い無く決めて『アイアン・スカイ』にした」

「あ、分かった。小林誠さんのTLでこんなのがリツイートされていたからだ。ヤマトは復活篇派の君らしい選択だろ」

諸君、本日は映画の日なので全劇場1000円で『アイアン・スカイ』が観れるぞ!劇場へ集合だ!半券の枚数に応じて豪華賞品が当るリピーターキャンペーンも実施しているのでチェックしてほしい! http://www.iron-sky.jp #鉄空

「外れだ。実はそのリツイート、映画を見た帰りの電車の中で見た」

「えっ?」

「自分が見る判断には何の影響も与えていない。そもそも"#鉄空"なんてハッシュタグはぜんぜん知らなかった」

「では教えてくれ。なぜ君はこの映画を見ようと思ったのだい?」

「UFOはナチスの秘密兵器という解釈で作られているらしいからだ」

「どういう意味?」

「事前の予告映像を見ると月面ナチスはアダムスキー型UFOで地球に戻ってくるようなので」

実際は §

「実際の映画はどうだった?」

「アダムスキー型UFOと、ヒンデンブルグ型宇宙船としての葉巻型UFOはナチスの秘密兵器という解釈だね。だから、ある意味でオーソドックスなトンデモさんの映画だけど、実はそこはどうでもいい」

「なぜ?」

「実は、ナチスが月から攻めてくることは本質ではないからだ」

「本質ってなに?」

「国際政治の虚々実々が皮肉られていることだ」

「でもナチスが月から攻めてくる映画なのだろう?」

「そうだ。でもそれは建前が崩壊する契機として機能したに過ぎない」

「えー」

泣ける良いシーン? §

「いちばんいいのは、アメリカの宇宙戦艦が孤軍奮闘してナチスの宇宙艦隊に圧倒された時だ」

「どうなるの?」

「全世界の宇宙艦が国家間の対立を超えて結集して助けに来てくれる」

「いいシーンじゃないか」

「でも、フィンランドを除く全ての国が条約違反で宇宙戦艦を作っていたことがばれて国連の議場が紛糾する展開でもある」

「いいシーン……なのか?」

「実に皮肉で良いシーンじゃないか。笑えて笑えて」

「泣く展開じゃ無いのか」

チャップリン §

「チャップリンの独裁者、短編の親ナチ映画として月面に伝わっていたのに、実はもっと長編でヒトラーを皮肉った映画だと分かってショックを受けるナチスのヒロイン。なかなか洒落た演出だね」

「知らないと分からないネタだね」

「ちょっと難しかったかも知れない」

大統領 §

「ナチスが攻めてくると聞いてまず喜ぶ大統領。これで戦時下の大統領になれて、再選は確実だと喜ぶ」

「えー」

「しかも、アメリカがまともに勝った相手はナチスしか無いと言い切って、ナチスの攻撃を大歓迎」

「えー」

「凄く皮肉でいいぞ」

宇宙戦艦 §

「各国の宇宙戦艦は現在の宇宙機の延長線上のデザインでいい感じだ」

「なるほど」

「でも、アメリカの宇宙戦艦のブリッジはスタートレック風」

「ひ~」

信用されていない日本 §

「条約を守ったのはフィンランドだけで、他の国はみな秘密裏に宇宙戦艦を作っていたという展開は、おそらく日本も作っていたという解釈。いかに、日本の信用が無いか分かる」

「それでいいの?」

「いいぞ、だって日本人の自分が見ても今の日本はとても信用するに値しない」

「ぎゃふん」

葉巻型UFO §

「ヒンデンブルグ型の宇宙船はちゃんと母艦になっていて、胴体に子機を多数収納している。葉巻型UFOらしい演出になっている。分かっていて作っている証拠だ」

「ひぇ~」

ゲーム §

「主人公操縦でUFOの離陸時、字幕ではゲームと書いてあったが、英語はウィングコマンダーと言っていたような気がする。ただの聞き違いかもしれないけど」

「ウィングコマンダーってなに?」

ウィングコマンダーより

ウィングコマンダー (Wing Commander) とは米Origin社の看板ともいえるスペースコンバット・シューティングゲームである。日本においてはFM TOWNSやスーパーファミコン、メガCD向けに邦訳版が発売されている。

結末 §

「ナチスの基地は攻撃されて壊滅する。しかし廃墟になりながらも残り、人類は互いに死闘を始める」

「酷い結末だ」

「ナチスの基地には生き残りがいて、主人公とヒロインはキスをする。一応それなりにハッピーエンドだ」

「でも君は納得しなかっただろう」

「もちろんだ。このまま終わったらもの足りないなあと思った」

「それで?」

「実はその先があった」

「えっ?」

「エンディングでミサイルを撃ち合って全面核戦争が勃発して人類滅亡」

「えー」

「この結末は納得した」

「これでいいのかよ」

「人類の愚かさを皮肉るブラックジョークだからな」

「ひ~」

「それに、月面に残った主人公とヒロインは生き延びたことになる。そういう意味では最悪の結末ではないよ」

オマケ §

「ちなみに主人公は黒人つまりブラックなんだ」

「それがどうした」

「実にブラック・ジョーク向き」

「いや、それはブラックの意味が違うから」