2012年10月09日
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獣アニメの特徴

Written By: トーノZERO連絡先

特徴論 §

 獣キャラは人では無い。しかし、人の属性を持つ。それゆえに、本音を語らせやすい特徴があるだろう。つまり、寓話を描きやすい。人間に語らせると危ない台詞も、獣キャラなら語れる場合があるだろう。

 従って、人間であることを迂回しつつ、より人間の本音に迫れることになる。(この特徴を露骨に活用したのがジョージ・オーウェルの小説『動物農場』といえる)

 これが一般化された獣アニメの特徴であろう。

 この特徴がよく出ているのが、サイコアーマー ゴーバリアンに出てくるオルドンの毒舌であろう。

 つまり、完全な動物でもダメ。かといって人間でもダメなのである。動物でも人間でもない第3の獣キャラになったとき、初めてそれは意味を持つのだと言える。

 しかし、本音を出すだけでは無く、それを包み込んで癒す暖かさがあるのもまた獣アニメであろう。人ではないからそこに暖かみが産まれる。

 しかるに、これら特徴は必ず活用されるわけではない。

 ぬいぐるみのように可愛い、という特徴だけが使用される場合もある。

 逆に、ぬいぐるみのように可愛い見かけで本音を語らせることで、逆に発言を際立たせる演出もある。

獣段階論 §

 獣と人間のミックス度合いによって、どの程度の割合でミックスするかはかなりばらつきがある。100%の人間だが、とても獣的な性格を持っている場合から、100%の動物で人語も喋らないが、人間的な感情表現を行う場合まである。

 これに関してはどの段階が良いとも言いきれない。

 また、獣の比率を上げると人間から離れるわけでも無い。感情移入可能である限り、獣の比率を上げても十分に人間風刺たりえる。

尻尾論 §

 尻尾がある場合と無い場合がある。

 尻尾がある場合、人間の服を着せるときにどうお尻を処理するのかが問題になるが、どちらかといえばデザイン上の問題であり、作品の本質とはあまり関係してこない。

 ただし『尻尾があるのにどうやって椅子に座っているの?』というネタにされる場合もある。

足論 §

 足を何本にするのかは極めて微妙である。

 たとえば四つ足の動物を、人間化して手が2本、足が2本として処理する場合もあるし、足が4本のままで処理する場合もある。

 足が6本ないし8本の生き物を使う場合、手が4本ないし6本と足が2本と処理される場合もあるし、手は2本で残りは足として処理される場合もある。

 いずれにせよ、どのように処理しても人間社会の風刺は可能と思われる。

 これも『どうやって椅子に座っているの?』というネタにされる場合もある。

耳の数論 §

 耳の数はやっかいである。人間に獣耳を付けると人間の耳2つと獣耳2つの計4つになるからである。

 この場合は、以下のような処理方法がある。

  • 耳が4つあることを容認する
  • 獣耳だけで人間耳は存在しない
  • 人間耳は髪の毛で隠し、あるのかないのかはっきりさせない

 しかし、唯一の正解は無く、ケモナーの永遠の悩みどころでもある。

 ちなみに、合体系獣キャラの場合、合体前に獣に耳が2つ、人間に耳が2つで、合体後に耳が4つというのも有り得る選択である。