「これは燃えるな」
「どこが?」
「アニメの第3話の終わりと第4話の前半ぐらいに当てはまる内容なのだが。実はアニメには存在しないシーン、台詞、発言タイミングの変更などがあって、けっこうアニメの2199を見ていても読み応えがある」
「たとえば?」
「アニメだと島の立場が少しぶれているのだ。島の立場なら寄り道をしたくないと発言せざるを得ないが、アニメだと寄り道したいと言ってしまう。コミックだと会議の席ではなくプライベートで寄り道したかったと告白する。正論で寄り道すべきと論破するのは新見の役目になっている。キャラ描写の矛盾を解消しつつ、同時に単なる説明キャラではない新見の存在感も出している」
「へー」
「他にもいろいろあるよ。たとえば、古代に波動砲は力になると言われて暗い顔になる森雪とか。戦術長の立場上、自分の職務には力が必要なのでそう言わざるを得ない。でも、古代の本音も同じかは分からない。まだ古代と雪の関係は本音を言えるレベルではない。。あのへんは決定的にアニメに足りない部分を補完している感じだろうね」
「それだけ?」
「波動砲は本当に地球独自の兵器か、という問題も提起されているしな。波動コアもブラックボックスみたいだ。ここでは真田の万能感が無い」
「そこが駄目?」
「いや、だからそこが面白い。真田は自分と人類の限界を知っているという意味で、実際には万能ではない。むしろ、分かってしまう万能感の対極にいるキャラだ。第9話の発言とそこは呼応する」
「それだけ?」
「いいや。実は、今回はメカ描写が驚くほど安定している。本人のスキルが上がっているのか、強力な助っ人をアシに入れたのか」
「どっちだと思う?」
「おそらく両方だろう」
オマケ §
「ほとんどのページは見ないで流したが、1つだけ引っかかった他のコミックがある」
「それはなんだい?」
「『こわいものみたさん』」
「何が引っかかったの?」
「米軍のオスプレイ配備で、男性同性愛行為(オスのプレイ)を連想して描くという、誰でも思いつくけれど、さすがにやらないネタを正面から描いて商業誌に載せたところ」
「それだけ?」
「ゴルフでグリーンに棲んでいる魔物という話で、本当に魔物を描いていた」
「ひ~」
「よくやった!」
オマケ2 §
「カラーページには第三章の紹介記事だ」
「ひゅーひゅー」
「見どころは人間ドラマと書いてある」
「ひゅーひゅー」
「でも記事で紹介されているキャラはオルタ、メルダ、ヒルデの3人で地球人は1人もいないぞ」
「ぎゃふん」
「それでもトーノ・ゼロは宇宙戦艦ヤマト2199第三章を応援しています」
オマケIII §
「むらかわさんには、向かい合って緊張感を持って見つめ合うメルダと山本というカットを期待しよう。その時がくればきっと描いてくれる」
「それまで連載が続くのかな」
「きっとその日を迎えておくれ」
「そのオチが言いたいだけか!」
オマケのオマケ §
「いや、だからそこが面白い。真田は自分と人類の限界を知っているという意味で、実際には万能ではない。むしろ、分かってしまう万能感の対極にいるキャラだ」
「それはどういう意味?」
「本当に賢い人間とは、自分と人類の限界を知っている人間ということだ」
「だからそれはどういう意味?」
「だからさ。万能感とは子供の属性なのだ。万能感があるからこそ、全世界に1人しかいない地球を救うスーパーヒーローに感情移入できる。そのようなヒーローが無条件に主人公になれるのは子供向きのドラマだけだ。そして、実際にはその他大勢の1人でしか無いことを思い知ることで大人になる」
「だから、波動砲を使えば良いと考える南部はまだ子供で、それでは駄目だと思う真田は大人ってことだね」
「だから、一般化すれば取りあえず敵がいて敵を撃てば良いという発想がそもそも間違っているわけだ。相手が何者であり本当に敵なのか。あれが敵だと指さす奴がいてその発言は事実なのか。味方だという言い分も本当に事実なのか」
「それは疑いすぎなんじゃないか?」
「中学生時代、体育の授業でサッカーをやっていたとき『ヘイ、パス!』と言われて思わず蹴ったら敵だった、という経験ならあるぞ」
「なんだよそれは」
「相手に周囲を見るゆとりが無いときは、とりあえず味方を装うのが定番のフェイントだってことだ」
「味方を装って裏切るのは定番だってことだね」
「そして、周囲を見るゆとりがある相手を引っかけると詐欺になる。もちろん、そういう場合には引っかけるためのテクニックがあって、たとえば『はだかの王様』が典型的な詐欺的なペテンの話だ」
「小学生の時の学芸会でペテン師Bに抜擢されたと聞いたぞ」
「なんと準主役だけど、喜んでいいのかは微妙だな」
「わはははは」
「結局、世の中にはペテン師相手にペテンを仕掛けようとする奴ばかり」
「君もペテン師なのかい?」
「そうだよ。『分かった。ヤマトはXXなんだ!』という根拠も定かでは無い妄言を書き連ねてきただろう?」
「ぎゃふん」