「スケールアヴィエーション11月号の飛ぶ理由は、予想の斜め上を行かれた上に、そこから考えられない大技を決められた。あれは凄い」
「いちばん驚いたことってなんだよ」
「そうだな。実は、たまたま"TENGU modelers 第一回模型作品展「飛行機モケイ」"というものが原宿で行われるということを知っていた。一時は行くのは無理かと思ったけれど、仕事でぶち切れて気分転換に強引に行くことにした」
「仕事は?」
「聞くな」
「ひ~」
「たまには他人の作品を見るために、展示会に行ってみるのも良いかと思ってな」
「それで?」
「そして、スケールアヴィエーション11月号の発売日だったので、電車に乗る前に本屋で買った」
「なるほど」
「とりあえず駅で電車を待っている時間に開いて、飛ぶ理由のページを見た」
「どうだった?」
「『たまには出かけてみるのもいいな、展示会』と書いてあった」
「ぎゃふん」
感想 §
「そんな偶然はともかく、真面目な感想を頼むよ」
「ヤマト2199の艦載機は隼だが、空中戦艦大和の艦載機は飛燕で来た、ということだ」
「隼と飛燕って関係あるの?」
「隼は一式戦。飛燕は三式戦」
「……」
「問題は飛燕の料理方法。かなり意表を突かれた」
「どこで?」
「変形メカなんだよ。ロボに変形する」
「どんな変形?」
「形状が変化する変形。だから普通の意味で変形モデルは作れない。変形前と変形後のモデルがあるだけ」
「ゲッター方式だね」
「しかし問題はここから」
「なに?」
「代表的な変形メカとしてF14トムキャットのイラストが載っている」
「えー」
「この痛烈な皮肉がたまらん」
「トムキャットは変形しないだろう」
「昔、バルキリーの同人誌の写真はトムキャットの水平尾翼を写真修正で消してあるだけだと聞いたことがあるよ」
「えー」
「素人なら、バルキリーとトムキャットを見間違う可能性があるね。いや、プロでもそうかも」
「まさか」
「むかし、航空専門学校の先生が、マクロスの本放送のOPをいきなり予備知識無しで見て、なぜトムキャットがテレビアニメに……と思ったという話を聞いたことがある。嘘か本当かは知らないが」
「ぎゃふん」
「だからそういう誤認のコンテキストの上では、トムキャットを変形メカとしてしまう説明も成立してしまうのだよ」
「設定第1主義だとバルキリーはバルキリーと思うけれど、知識がなければいくらでも誤認する世界ってことだね」
「それから問題の飛燕。凄くニヤニヤできる話が満載なのだけど、そこは横に置く」
「えー」
「飛燕のコクピットはACE COMBAT 3のエアロコフィンに近い。つまり中が見えない」
「パイロットが外から見えないわけだね」
「その代わり、隣にパイロットの女の子が描いてあるからスケール感は良く分かる」
「それはそれでいいのか」
「うん。これでいい」
「ロボ形態は嫌いじゃ無いの?」
「この形状はけっこう良いと思う」
「なぜ?」
「下半身は人じゃない。しかも下に長く伸びる。テーブル上に置いて安定しない形状は好き」
「な……なるほど」
「それからもう1つ。既出の設定かも知れないけどケイバ-リット循環液という言葉が凄すぎる。まさか、ここで見るとは思わなかった言葉だ」
「えっ? モビルスーツの名前?」
「ケイバーリットなんだよ! 分かるかい? ケイバーリット!」
「分からないよ」
「検索してくれ」
「えー」
「しかし、通常はケーバライトと表記するらしいが、自分はケイバーリットと覚えていた。読んだ本が同じなのかもしれない」
「なんじゃそりゃ」
オマケ §
「実は冷や汗をかいた」
「どこで?」
「艦載機飛燕を扱う場所は、空中戦艦大和の底部なんだよ」
「それがどうした?」
「ヤマトの底部を艦載機に取り扱いのスペースに割り当てていく発想そのものが、とっくに空中戦艦大和で実現済み。1つ間違えば、ただの後追いになっていたところだ」
「実際にはどうなんだい?」
「料理方法がかなり違うのでホッとした」
TENGU modelers 第一回模型作品展 §
「TENGU modelers 第一回模型作品展の方はどうだったのだい?」
「けっこう面白かったぞ」
「なぜ?」
「飛行機模型は初めての人もいるというが、模型に慣れた人ばかりだし、『何か1つ驚かせるネタを入れてやろう』的なサービス精神を持った人が多くて、見ていて飽きなかった」
「それは良かったね」
「それに、良い刺激になったよ」
オマケ2 §
「この雑誌の他のページはどう?」
「うむ。ところで、ACE COMBAT 5で戦闘中に驚喜した展開は何か分かるかい?」
「質問に質問で返された! っていうかさっきの話題は3だろ。なんで急に5なんだよ」
「いいからいいから」
「凄い架空機が登場したから?」
「外れ」
「なんだよ」
「ニムロッドなんだよ! ニムロッドがふらふら飛んでいるのを見た時は驚喜して撃墜したよ」
「結局落とすのかい」
「そしてその次は何だと思う?」
「なんだよ」
「バルカンなんだよ。バルカンがふらふら飛んでいたから驚喜して撃墜したよ」
「それも結局落とすのかい」
「というわけで、フォークランド特集もバルカンの作例があって驚喜した」
「普通のミリオタなら、爆撃機と言えばB-52とかB-2じゃないか?」
「普通のマニアならB-36とかホーネット上のB-25とかに行くと思うよ。普通は蛇の目に行かない」
「じゃあ君は何だよ」
「フフフ。他にシュペルエタンダールの作例もあったしな。けっこう楽しかったぞ」
「ハリアーより?」
「うん」
「ひ~」
「ところで1ページ目にダッソー・エタンダールと空母クレマンソーが出てくる映画として『頭上の脅威』という映画が紹介されているのだけど、昔見たタイトルを覚えていない映画はこれかなあ。ともかく、空母クレマンソーという名前だけはよく覚えている」
「タイトルは覚えていないのに空母は覚えてるのか!」
「だって、映画の中でタイトルは連呼しないけど、空母の名前は何回も出てくるから」
オマケIII §
「隼は一式戦。飛燕は三式戦」
「それで?」
「展示会で見た作品の1つが鍾馗で二式戦」
「ぎゃふん」