芦ノ湖にはチョビンという男が住んでいた。チョビンは、小男でチョビヒゲを生やしていた。
ある日チョビンは自分の人生に疑問を持った。もしかして、俺はもっとビッグになるべき男では無いだろうか。
チョビンは、芦ノ湖の海賊船をジャックすると本格的な武装を施した。
これで、どのような相手とも戦えるとチョビンは確信した。
敵はすぐに現れた。
琵琶湖のワピコだ。
女だから軽く捻ってやろう。
そう思って琵琶湖のワピコを迎えた。
ワピコは海賊船を見るなり言った。
「フネが小さいわ。湖も小さすぎ。もっとビッグな男を目指しなさいよ!」
愕然とした芦ノ湖チョビンは、ビッグになることは諦め、海賊船を改造して遊覧船として運行することにした。
(遠野秋彦・作 ©2012 TOHNO, Akihiko)