2012年10月18日
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三百字小説『芦ノ湖チョビン』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 芦ノ湖にはチョビンという男が住んでいた。チョビンは、小男でチョビヒゲを生やしていた。

 ある日チョビンは自分の人生に疑問を持った。もしかして、俺はもっとビッグになるべき男では無いだろうか。

 チョビンは、芦ノ湖の海賊船をジャックすると本格的な武装を施した。

 これで、どのような相手とも戦えるとチョビンは確信した。

 敵はすぐに現れた。

 琵琶湖のワピコだ。

 女だから軽く捻ってやろう。

 そう思って琵琶湖のワピコを迎えた。

 ワピコは海賊船を見るなり言った。

 「フネが小さいわ。湖も小さすぎ。もっとビッグな男を目指しなさいよ!」

 愕然とした芦ノ湖チョビンは、ビッグになることは諦め、海賊船を改造して遊覧船として運行することにした。

(遠野秋彦・作 ©2012 TOHNO, Akihiko)

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