「デスラーの嘘くさい演説に熱狂するガミラス臣民達。ガーレ・デスラー!」
「ヤマト2199第8話の話だね」
「ヤマト2199第8話をもう一度改めて考えると一筋縄では行かない気がする」
「それはなぜ?」
「表面的に見ると、ヤマト2199第8話とは『デスラーがもたらした危機を必死に脱出するヤマト』の話である」
「まさに神のみわざである」
「しかし、この話は主にガミラス側の視点で描かれているのだ」
「まさか。我が大ガミラスと言えども破れることはあったのです!という話?」
「この話は実は若くして思い上がったデスラーがヤマトに負ける話なのだ」
「ヤマト1974でも負けてるよ」
「ヒス君。君は馬鹿かね。ヤマト1974のデスラーは寝ちゃうのだ。正面から敗北を受け止めていない」
「ひ~」
「だいたい、恒星までヤマトが逃げればガス生命体がアウトって、予測可能。でも慢心したデスラーは気づかない。デスラーにおべんちゃらを言うのに忙しい重臣も気づかない」
「わざと出口を用意しなければ、勝てた可能性があるわけだね」
「そうだ。だからデスラーは負ける。問題はその後だ」
「えっ?」
「負けた後に何をするのかで人間の価値は決まる」
「デスラーは何をした?」
「戦死者の2階級特進と、遺族への名誉市民授与。そして、ヤマトの名前を確認」
「それってどういうこと?」
「失敗のフォローを忘れない。そして、敵の名前をしっかりと確認して再戦への意欲を高めている」
「なるほど」
「そういう意味で、デスラーは『今回は負けた』というだけで、気持の上で負けていない」
「そこは立派なのだね」
「さて、ここで問題」
「なんだよ」
「負けて立派な態度を取ったデスラーに熱狂したヒルデは間違った行為を行ったのだろうか」
「えっ?」
「うかつに独裁者に騙され、父親が戦場でひねり潰された憐れな被害者なのだろうか。脳天気にデスラーの演説に興奮している場合じゃない詐欺の被害者なのだろうか」
「被害者じゃないとしたら、何だというの?」
「デスラーは相当冗談が好きな男を落としちゃうように残虐だが、実は重臣や司令官クラスに限ってその残虐性が発揮されている」
「えっ?」
「自分の目の前で醜態を晒す相当冗談男や、態度が悪いゲールに対しては容赦が無い。椅子のスイッチですぐ消しちゃう。でも、演説で熱狂している臣民にその残虐性は発揮されない」
「えー」
「案外、ヒルデがデスラーに熱狂する行為は間違っていないのかも知れない」
「それは、ヤマトの正義を否定しちゃう発言だね」
「ヤマトの正義。地球の正義。それが否定されかねない瀬戸際にいると思うべきだろうな」
「ひ~」
「面白くなってきやがったぜ」