2012年11月01日
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三百字小説『スーパーすべり台ん方式』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 すべり台は戦場だった。

 しかし、レフレックスはライバルのスーパーに勝てなかった。

 「なぜ勝てない」

 公園の主、並さんは言った。「そりゃウェイト差だ。あっちは石6個分。あんたは2個分」

 レフレックスは一生懸命食事を増やしてウェイトを増やした。しかし、スーパーには勝てなかった。

 ある日、公園にゲルマという少女が来た。ゲルマは一瞬でスーパーに勝った。

 「なぜだ。なぜ。石が1つも無いような女で勝てるのだ」

 「さあ。女だから?」ゲルマは首をかしげた。

 レフレックスは性転換した。しかし、やはり勝てなかった。

 並さんは言った。

 「すべり台はウェイトじゃねえんだ。お肌のスベスベ感なんだよ」

 「前と言っていることが違うじゃないか!」

(遠野秋彦・作 ©2012 TOHNO, Akihiko)

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