「森博嗣の新刊はもう出ないかと思っていたよ」
「懐かしいから買ったわけだね」
「本人も静かに消えていくと公言していたしね」
「じゃあ、なおさらか」
「ところが、読んでみるとやたら面白い。最後の1行まで楽しめた。いや、最後の1行どころか、行間まで楽しめた。破格によく出来ているよ」
「どこが良かったの?」
- 描写が地に足が付いている。嘘みたいなトリックや背景があるにも関わらず視点や語り口は現実から離れない
- 特に冒頭の列車移動の描写が非常に優れている。生々しい
- すぐ来ない海月。自分の用事が終わったらとっと帰る瀬在丸。どっかに行って登場すらしない犀川。マイペースで深く関わってこない西之園萌絵。相変わらず決定的な役割を果たさない佐々木。加部谷の性格的な可愛さが無駄に爆発する条件が整っている
- 海月は最強
- 『ジグβは神ですか』のジグは治具だ
- 『ジグβは神ですか』は疑問文であり、実は『神である』『神ではない』の2つの解釈が存在する
- 皮肉で楽しめる結末
- しかし、本当の謎は水野の正体であろう
「本当の謎ってなんだ?」
「内緒」
「おいおい」
「謎が残る以上、続刊はあるのだろう。たぶん」