「年末スペシャルで既に語ったことを蒸し返そう」
「無駄なことを」
「そうでもない」
「なぜ?」
「熱さが過ぎるとみんな忘れちゃうから」
「ほんとに?」
「アッという間に争点で無くなった原発問題を見よ。311直後は反原発が正義だったが、今や浮き世離れした人しか反原発は叫んでいないぞ」
「ひ~」
「というわけで、語ってみよう」
「何を語るんだよ」
「正義の味方の問題」
「なに?」
「彼らは、贔屓のブランドの取扱店が少ないと、それは公正ではないと怒る」
「うん。購入の機会は均等では無いわけだね」
「でもね。贔屓のブランドの取扱店が多いとき、取扱店の少ないブランドが他にあっても一切文句を言わなくなる。こちらが見た範囲では、そういうケースが非常に多い」
「えー」
「じゃあ、最初の意見は何だったのかといえば『公正ではない』という苦情ではなく、『公正ではない』という異議申し立ては相手を弱体化させる攻撃の一種でしか無い」
「つまり、本当に公正になることを望んでいるのではなく、『公正』の申し立てが強者の力を削ぐ方策ってことだね」
「そう。自分の贔屓のブランドが強者になったら、あとはもう知ったことでは無い。敵を攻撃する手段である『公正』を身内には向けない」
「ひ~、なんていう矛盾だよ」
「だからさ。こういうのを2枚舌というのだよ。自分の都合で言うことがコロコロ変わる。そして、2枚舌は一時的なブームは起こせても社会的な信用は得られない」
「ひでえ話だな」
「1990年代ぐらいから、世の中は酷い話で一杯さ」
「で、具体的に2枚舌って何のこと?」
「具体名を書くのは下品な振る舞いだろう」
「そんな悠長なことを言っているゆとりはあるの?」
「無い。でも、自分の頭で考える力があれば分かる話だよ」
「他人の掲げる正義に寄りかかって、考えるのをやめたらおしまいってことだね」
「でも、世の中は他人の掲げる正義に寄りかかった人ばかりだ」
「じゃあ、正義ってなんだよ」
「現実的には、迷惑行為の別名だろうな」