2013年01月06日
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B29の女性搭乗員問題再び

Written By: 川俣 晶連絡先

Subject: B29の女性搭乗員問題

Keyword: 【▲→川俣晶の縁側→歴史と文化→下高井戸周辺史雑記】

URL: http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20101002103221

本文:

はじめまして! 私が20年ちょっと前に勤めていた問屋に取引先の納品担当のかなり年配者の運転手がいて 戦時中の年を聞いたり、戦時中の生活などを聞いたりしました その方は終戦時に15か16才と言ったかと記憶しています その戦時中の話しを聞いてた時、私からB29やグラマンなど見た事があるか質問した時に、B29が撃墜され捕まった捕虜が縄などで縛られ町中を引かれて行くのを目撃し、その中に女性搭乗員がいて驚いたと言っていました。私が、なぜ女性搭乗員と判断できたか聞いたら、小柄であり髪の長さと胸の膨らみだと言っていました。

ですから女性搭乗員がB29に搭乗していたのは、私は事実だと思います。

 こちらの判断で名前は伏せさせて頂きましたが、貴重な話をありがとうございます。

問題はどこにあるのか §

 以下の2点が整合しないことです。

  • 墜落したB29に女性が乗っていたという証言が広範囲にある。生存か遺体か違いもある。女性ものの遺品というバリエーションもある
  • B29に女性が乗っていた証拠が出てこない。状況から見て、乗っていた可能性はあまり無いように思われる

過去の書き換えは有り得る §

 しかしながら、過去の書き換えは有り得る話です。書き換えた結果、歴史が整合しなくなることもヨクアルコト。スティーブ・ジョブズの画期的な新発明より前に似たような製品が既にあるようなものですね。

 この場合の書き換えの可能性は単純に以下の3通りです。

  • 実際にB29に女性が乗っていたが、何らかの理由で乗っていなかったことにされた
  • 想像や伝聞を実際に見たように記憶する何か象徴的な何かがあり、存在しないB29女性搭乗員が見えた
  • 双方ともに何らかの理由で過去が書き換えられている

 問題は2番目の可能性。

 これは、いわゆる鉄道忌避伝説などと同じで、典拠を辿っていくとあやふやだが、事実であるかのように喧伝され、多くの人が事実と信じる現象と似ています。

 あるいは妖怪ですね。江戸の絵双紙の妖怪が地方に流出すると実際に遭遇したという話になって江戸に回帰してしまう。

 でなければUFO。

 そうなってくると、別の意味でこちらの興味のある領域に接近してしまいます。人はなぜ存在しないものが本当に見えてしまうのか。

 つまり証言が嘘だと言いたいのではありません。「誠実で正直な語り」でしょう。

 しかし、誠実で正直だけでは歴史には1歩届かない。「誠実で正直な語り」を疑う悪党になることから歴史あるいは科学は始まるわけですね。

オマケ §

「では問うぞ。君は悪党か?」

「肯定だ」

「では、この人の証言は事実では無いと言うのかい?」

「さあ。分からない」

「分からないって……」

「会ったことも無い人の言うことを肯定も否定もできないだろう。裏付けも取っていない」

「でも君は疑うと書いたじゃないか」

「それは2番目のケースだとしたら……だよ。あくまで仮定の話だ」

「仮定って……」

「そりゃそうだ。何もまだ分かってないのだからね」

「でも興味がありそうだね」

「そうだな。相互に関係ない複数の人たちの記憶を上書きするような何かがあったのなら、それは知りたいね。テーマが大きすぎてこちらの手には余るので、プロの学芸員の誰か研究しないかな」

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