2013年02月07日
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三百字小説『珍品探偵マッシュ村山』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 村山は珍品を探す珍品探偵だった。

 ある日、珍しい猿を探して欲しいという依頼を受けた。なぜ珍しいのかと言えば、珍しいパンツをはいているからだった。パンツをはいたサルならいくらでもいたが、珍しいパンツとなると難しかった。

 しかし、村山は野山を駆け艱難辛苦を乗り越えてついにその猿を見つけた。だが、ホッとしたのもつかの間、猿は捕獲されることを拒絶した。

 「こんなパンツは脱いでやる」

 猿はパンツを脱ぎ捨てて全裸になるとそのまま走り去った。

 村山は、パンツだけ持って依頼人のところに戻った。

 依頼人は自分でそのパンツをはいた。

 「中身はどうでも良かったのだ。このパンツを猿がはいていればそれで良かったのだ」

(遠野秋彦・作 ©2013 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦