村山は珍品を探す珍品探偵だった。
ある日、珍しい猿を探して欲しいという依頼を受けた。なぜ珍しいのかと言えば、珍しいパンツをはいているからだった。パンツをはいたサルならいくらでもいたが、珍しいパンツとなると難しかった。
しかし、村山は野山を駆け艱難辛苦を乗り越えてついにその猿を見つけた。だが、ホッとしたのもつかの間、猿は捕獲されることを拒絶した。
「こんなパンツは脱いでやる」
猿はパンツを脱ぎ捨てて全裸になるとそのまま走り去った。
村山は、パンツだけ持って依頼人のところに戻った。
依頼人は自分でそのパンツをはいた。
「中身はどうでも良かったのだ。このパンツを猿がはいていればそれで良かったのだ」
(遠野秋彦・作 ©2013 TOHNO, Akihiko)