「昔ね。クラシックで好きな曲は、ラベルの亡き王女のためのパヴァーヌと、リムスキー・コルサコフのシェへラザードだったんだ」
「それで?」
「サーシャの宇宙船もシェへラザード」
「同じだね」
「風呂の中でハッと気付いた」
「なに?」
「ヤマトの音楽のサーシャって、リムスキー・コルサコフのシェへラザードみたな曲というオーダーで作られた曲じゃないだろうか」
「えー」
「どことなく似たムードがある」
「まさか」
「だからこそ、サーシャの宇宙船はシェへラザードなのではないか」
「えー」
「ちなみに、ヤマト1974の時はそれほど明確にサーシャ専用曲という扱いではなかったようだ。ただ、他に使い所がなく、サーシャ専用曲になったような感じらしい。交響組曲のライナーを読む限りはね」
「ならばサーシャの宇宙船がシェへラザードになる理由は無いね」
「そうだ。しかし、ヤマト2199になると話は変わってきて、この曲は交響組曲で『サーシャ』と名前が付いてしまったのだ」
「確かに」
「しかし、そこから話は更に展開する」
「なんだよ」
「シェへラザードというのは、本来、姉妹の王女の話なのだよ」
「それってまさにイスカンダル」
「そして凶悪で我が儘な暴君」
「それってまさにデスラー」
「暴君は処女を抱いては殺すような男」
「下品な男を穴に落とすような行為に相当するわけだね」
「そして、身体を張って抗議する王女には惚れ込む」
「スターシャに惚れるデスラーみたいだね」
「そして、シェへラザードが語る物語の一部は航海の物語だ。驚異の世界を冒険して宝物を得るのだ」
「ひ~」
「ヤマトの物語が本来西に向かう西遊記だとすると、アラビアンナイトのアラビア世界が終着点でも何らおかしくない」
「なんと」
「そういう意味でも、実はシェへラザードとは極めて重要なタームではないかと思う。ヤマト的には」
オマケ §
「そこから逆算すると実はとんでもない事態になる。個人的には」
「なんだよ」
「亡き王女のためのパヴァーヌが好きな理由は分かっている。富田勲のシンセサイザー版を聴いて気に入って、オーケストラ版を聴いてやはり良かったからだ。でもシェへラザードは今ひとつ明確ではない」
「それで?」
「実はね。サーシャに似ていたから安心して聴けたとすると、話がひっくり返る」
「えー」