2013年03月31日
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迷宮都市に空中戦艦大和の存在感はあるか?

Written By: トーノZERO連絡先

「迷宮都市に空中戦艦大和の存在感はあるか?」

「ちょちょちょ、ちょっと待て。迷宮都市とは、1988年に出たコミックだろう? 空中戦艦大和は現在スケールアヴィエーションで連載中の飛ぶ理由に出てくるものだろう? 時系列的にあり得ないだろう」

「ところがね、そうとも言いきれないのだ」

「なぜ?」

「古書で迷宮都市を買って読んで分かったのだけど、けっこう飛ぶ理由のモチーフが既に迷宮都市に出てくる」

「たとえば?」

「首から上が機械になった人間とか」

「えー」

「だからこの設問は無茶でも無いよ」

「分かった。存在感があったんだね?」

「いや、そうでもない」

「えー」

「でもね。VI号G2型戦艦というのがね。デザインの方法論が、宇宙戦艦ヤマトの同型艦としての宇宙空母シナノと非常に似通っているのに驚いた」

「意味分からないよ」

「うむ。説明する」

「そもそもVI号G2型戦艦ってなんだい?」

「要するにデザインをやり直したホワイトベースだ」

「は?」

「ペガサス級だよ」

「ガンダムじゃないか」

「ペガサス級というのは、本来強襲揚陸艦なのだが、強襲揚陸艦というのは飛行甲板を持った空母に似た外見を持つ。固定翼機がどこまで運用できるかは別として。強襲揚陸艦で画像検索すると一発で分かるね」

「それで?」

「だからね。強襲揚陸艦っぽくするのなら、まず飛行甲板を付けるのが手始め」

「ならば、そのホワイトベースモドキも飛行甲板を持つわけ?」

「そう。実際、強襲揚陸艦で画像検索したら、こういう作例も出てきたよ」

「なるほど、こういうデザインなのだね?」

「いや。ただ飛行甲板を乗せるとホワイトベースの記号性が死んでしまう。他の部分を覆い隠してしまうからね」

「それで?」

「だからね。先頭部分は飛行甲板を乗せない。前足が伸びているような外見は残す。ブリッジの前部が前に飛びだしている外見も残す」

「は?」

「後部にのみ飛行甲板を乗せてあるのだよ」

「なるほど! ヤマト級の記号を残すために艦前半はヤマトっぽいムードを残して後部だけに飛行甲板を乗せたシナノと料理方法が同じなのだね」

「そうそう」

その他の感想 §

オチの問題 §

「凄いメカを装備して活躍する作品であるが、各エピソードのオチがいい」

「オチ?」

「そう、オチ」

「どんなオチ?」

  • 一緒に飲みに行ってやられた。なさけない
  • 偶然事件が解決したが、誉められたので真相は内緒
  • 無線機が壊れていてとっくに解決した事件の犯人を捜し続けていた
  • 減給された

「凄いメカの割に情けない……」

「そこがイイ!」

用語の問題 §

「SFやアニメやその他の用語がわざわざ大量に使ってある」

「それってパクリ?」

「そうじゃない。安っぽい風俗のファッションを身にまとっているという表明だ。それらは借り物であり本質では無いことを示している」

SSの問題 §

「SSとNSが出てくる」

「なんだそれは?」

「実はね。オルランドシリーズにはSSNとOSNが出てくるの」

「なんだそれは?」

「いや、それを思いだしただけ」

「意味ねえ!」

「でも感想ではある」

「個人のだろう」

「感想は個人のものだ」

「ひ~」

「ちなみに、オルランド戦艦建造秘話「カズサ誕生物語」で宇宙戦艦ヤマトの名前が出てくるが、これを公開した日付が2006年04月27日。この時点では、宇宙戦艦ヤマト復活など夢想もしなかった」

「カズサが水上戦艦から宇宙戦艦に改造されたりはしないわけだね」

「あっさり俗説扱いで切って捨てた」

「事実はどうなんだよ」

「フィクションだから事実なんて無いよ」

「君が子供時代はどういう設定だったんだよ」

「設定も何も、紙に上面図を描いて船型に切り抜いたゲーム用の船があって、後から裏側にも兵装を書き込んで宇宙戦艦と称しただけ」

「何のゲーム?」

「さあ、覚えていない。しょうもない子供の思いつきだろう」

「ぎゃふん」

リメイクの問題 §

「そもそもだね。迷宮都市に出てくるモチーフがけっこう飛ぶ理由で反復されているのは、オルランドシリーズやラト姫物語でやっていることと同じだ。そういう感想も持った」

「個人的にはだろう?」

「そうだ」

「そもそも、オルランドシリーズやラト姫物語で何をしたのだ?」

「中2病っぽい子供時代の妄想に、今の自分の力で具体的な姿を与えたのが短編連作のオルランドシリーズ。従って、モチーフの反復であるが、ニュアンスは変化していく。より大人の視点に立つ」

「じゃあラト姫物語は?」

「トモネコさんが読んだ現在ネットで公開されている版は、古いものがベース。実はほとんど書き直された新しい第4版の原稿が存在する」

「話が違うわけ?」

「そうじゃないよ。あらすじは同じと思ってもらっていい。ただ、若くない視点で徹底的に取捨選択と必要な補強を行ってある」

「なんか、迷宮物語の感想になってないよ」

「連想したことを語っているだけで、一種の感想だ」

「ひ~」

人形の問題 §

「迷宮都市に話を戻せよ」

「嫌でも戻るよ。それの感想なんだから」

「じゃあ語れよ」

「パワードスーツないしモビルスーツ的な人型メカがいっぱい」

「君が嫌いなものじゃないか」

「そうでもない」

「なぜ?」

「この作品のは、2つの特徴があるからだ」

  • 微妙に人型になっていない
  • 顔が見えるケースも多い (見えなくてもやたら人間くさい)

「要するに、人型に固執せず、個室に入らなければそれでいいわけだね」

パンテルの問題 §

「昔のドイツの兵器が未来に出てくるエピソードがあってね」

「それで?」

「ティーガーじゃなくてパンテル。Bf109じゃなくてフォッケウルフ。マウスも出てくる。ドイツマニアの選択とはちょっと違う」

「それでいいわけ?」

「そうそう。ティーガーじゃ無くてパンテルが出てきた時点で『おおっ! 分かってる!』と思ったもの」

面白い形の車の問題 §

「最近自動車を意識して見るようになったの」

「どうして?」

「面白い色や形の自動車って少ないなあって」

「それで?」

「読んでいたら面白い形の車が見られてビックリだよ!」

シドミードの問題 §

「この本で言及されているシドミードと小林誠さんがやってる作品はおそらくYAMATO 2520のことだろう」

「出版当時は未来への秘密。今は忘れ去れた過去だね」

「いや。途中で終わるというトラウマを残したので、まだ覚えているファンはけっこう多いぞ」

バカの問題 §

何とシドミードのコメントをもらってしまった(中略)俺ってエライのかなァ(バカ)

「これがどうした」

「最後に馬鹿って入れて自分に突っ込むのは自分のやり方なので。以下は一例」

昔のことを思い出したら、急にガンダム戦車というコンセプトを思いついた。恐竜戦車があるならガンダム戦車があってもいいじゃないか。今作成中の模型が一段落したら検討してみようか。(←馬鹿)

「あんたバカぁ? そんなことしてる奴は他にいくらでもいるよ」

「いや、単にそこで引っかかっただけ(←バカ)」

知らない問題 §

「この本が出た頃、新宿の漫画の森にはそこそこしばしば行っていたと思うが、記憶にない」

「なぜだろう?」

「勧める人もいなかった」

「なぜだろう?」

「仮に平積みになってこの本があったとすると、それは目立っただろうか。いやたぶん埋没して目立たない」

「なぜ?」

「表面的なファッションは他のマニア向けコミックと大差ないからだ。露出度の高い服を着た美少女が銃を持って立っている。その絵そのものが目立たない。そんなビジュアルは山ほどあったからだ。よほどピンポイントで狙っていかない限り、わざわざ手に取ることもなかっただろう」

「ふーん。じゃあ、なぜ勧める人もいなかった?」

「理由はいくつか有り得る」

  • 付き合う相手が悪かった
  • そういう時代ではなかった
  • 自分に受容能力が無かった
  • たまたま

「付き合う相手が悪かったとは?」

「主流のオタクには解釈できないだろう」

「そういう時代ではなかったとは?」

「日本のアニメがまだ熱かった時代だ。しかも数は減っていなかった。欧米のテイストに目を向ける意味も無く、無意味に日本は最高だと思っていれば良かった脳天気な時代だ。メビウスと言われても全くピンと来ないマニアが多数派の時代じゃないか? そういう時代にこれは注目されないだろう」

「自分に受容能力が無かったとは?」

「読んで字のごとし。オレの探索網もまだ未熟だったかもしれないし、感性も未熟だったかもしれない」

「たまたまとは?」

「マニア向けコミックは当時既に数が増えすぎていた。たまたま見てないだけ、という可能性もあるよ」

自分の問題 §

「だからね。自分の未熟さは別とすると、あの当時の自分は、なぜああいう人たちとしか付き合えなかったのだろうか、という問題意識は残るよ」

「ああいう人たちって、どういう人たちだよ」

「そうだな。どう説明すれば良いのかな。今でもいるけどさ。フィクションと現実の区別が上手くついていない人っているよ」

「たとえば?」

「こういうやり取りがあったとする」

  • 将来の国産宇宙船には畳の部屋ができるに違いない
  • うる星やつらにはもうあるよ

「ああ、話がすれ違っているね」

「そうそう。将来の国産宇宙船の話は、アニメの話をしているわけではなく、現実の話をしている。しかし、そこが読み取れない人がいる。当時は……ということではなく、今でもいる」

「たとえば?」

「Aという作品があり、それを発展させてBという作品が生まれたという論は、現実の世界で時系列が繋がっているという論だ。しかし、作中の時系列が繋がっていると読み取ってしまう人がいるよ」

「なるほど」

「作中のお約束が持つ強制力は絶対では無い。それは表現の都合で産まれるものであり、モチーフを展開させて行くにつれて変化していく性質のものだ。しかし、そのお約束を絶対視する人が実はけっこういる」

「それはどういう意味だい?」

「抽象化階層を上がれない。つまりメタの世界に行けない」

「メタってなんだ?」

「メタの恐怖だよ」

「メタの恐怖とは?」

「Amazon用電子書籍に出版予定の『黒猫放談 ~長生き猫又が『世界の嘘』の嘘を斬る101コラム大行進~』に載っているよ。運が良ければそのうちに出るだろう(現在校正作業中だ)」

「少しぐらい読ませろよ」

「じゃあちょっとだけ」

黒猫放談【No.031】「メタの恐怖」の真の意味とは何か

 うろ覚えで書き飛ばすと、前回に書いた話題の一部は、ずっと以前にxml-usersメーリングリストに出た「メタに関する誤解」を元にしている。このときは、「メタの恐怖」という言葉も使ったような気がするが、定かではない。しかし、その時にはあるべき正しい解釈も説明していないし、「メタの恐怖」の意味も説明しなかったと記憶する。なぜ説明しなかったのか、といえば、これは言葉で書いて理解できる問題ではない、と考えられたらだ。つまり、自力で気付かない限り問題は解消されないだろう、ということである。

 しかし、なぜ言葉で説明できないのだろうか。

 メタとは、極めていい加減かつ不明確に表現するなら、(以下略)

「続きを読みたい奴は電子出版されたら買っとくれ」

アートの問題 §

「迷宮都市に似たコミックは他にほとんど知らない」

「まだ続くのかよ」

「ほんの余談だ」

「何を語る気だよ」

「実は中身はまるで違うが持ち味が似たコミックを1つだけ知っている」

「それはなに?」

「イバラードのコミック」

「イバラード?」

「ググれ」

「井上直久さんはもちろんアニメーターではなくアーティストだから、どちらの作品もアートに匂いがする、と言った方が良いかも知れない」

「ホントかよ」

「匂いで分かる」

「キシリアの手の者じゃねえ! ちゃんと説明しろ! どこがアートなんだ!」

「迷宮都市の正式な書名はアートオブ迷宮都市だから」

「ぎゃふん」

「じゃあ、アーティストとは何か」

「なに?」

「表現者のエリートなのだろうと思う。本当かどうかは知らないが」

「エリート、ということは、人は平等では無い……ということ?」

「そうだ。当然そのように言っている」

「みんな平等じゃないの?」

「基本的人権のレイヤーでは人は平等だが、このまで来ると平等ではない」

「ほんとに?」

「アートの世界は都心の一等地に立派な美術館があってそこで展示してくれる。全てのアーティストの作品を扱ってくれるとは言わないけどね」

「漫画家やモデラーが同じ扱いを受けるのは確かに難しいね」

「もちろん個々人のレベルでは例外はあるよ。特別な漫画家の扱いが、しょうもない素人画家より扱いが良い、ということは有り得る」

「一般論では差があるわけだね。でもさ、何が違うのだろう。技術?」

「技術ではないと思う。実は下手くそなアーティストも珍しくないと思う」

「えー」

「実際、迷宮都市も表現的にどうかな、と思う部分が無いことも無い」

「じゃあ何が違うんだよ」

「情熱の熱量だと思う」

「それだけでいいの?」

「たとえキャンパスに黒い絵の具を塗っただけの作品であろうと、台に砂を乗せただけの作品であろうと、これこそが究極的に突きつめたオレの表現だっ! と莫大な熱量を持って迫ってくればそれはアート作品だ」

「手間暇をかければ良いってこと?」

「いや、他人がデザインした飛行機をいくら精密に模型化しても、それはアートにならないよ」

「なぜ?」

「だって、デザインしてないもん」

「ぎゃふん」

「逆にいえば、他人がデザインした飛行機を手段として圧倒的な熱量を持って表現を行えばそれはアートになる」

「本当に?」

「知らん。素人の戯れ言だ。気にするな」

オマケ §

「やられた、情けない、というオチが成立するのと、ワンフェス会場に女性器の付いた可変戦闘機美少女ガレキを持ち込んで展示するのは結局同根だ」

「どこがだよ」

「全てのアーティストが……とは言わないが、そういう表現を表出することにためらわないアーティストは珍しくもない」

「一般人は18禁扱いされると下に見られるとビクビクするわけだね」

「あるいは過剰に興奮するかだ」

「じゃあ、アートってなんだ?」

「そういう表現が必要なら持ち込むことをためらわないが、かといってそれを過剰に意識もしない」

「本当に?」

「知らん。素人の戯れ言だ。気にするな」

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