2013年04月04日
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WikiPediaのTOKYOナンパストリートびっくり記述・X1にはDOSがあった!

Written By: 川俣 晶連絡先

TOKYOナンパストリートより

X1版では当時の8ビットパソコンではめずらしく、OSらしきものから動作しているように見受けられた。まずDOSのようなものが起動し、それからゲーム本体をロードしていた。フェイクだった可能性も否めないが、当時はこれをみてかなり想像力をかき立てられた。

「わははは、これは笑った」

「なんでだよ」

「あれを見て気にしている人がいたのかと」

「なぜだ」

「じゃあ全部説明してあげる」

  • TOKYOナンパストリートのX1のDISK版の起動に使用されているのはMINI-DOSのX1版。最小限の機能のみのX1へのポーティング版
  • MINI-DOSは本来PC-8001用。これをX1に移植したもの
  • MINI-DOSの目的はZ-80のアセンブラによる開発。主なソフトはエディタのSOCEとアセンブラのAZA。その他小物ツール
  • PC-8801にも対応するが、N-BASICモードで稼働する。N88モードでブートしても自動的に切り替えて起動し直す (そういう88対応機能は含んでいる)
  • TOKYOナンパストリートの88版のDISK版の起動にも使用されている (つまりN-BASICモードで起動して、88固有のハードを使用している)
  • TOKYOナンパストリートのX1のDISK版にMINI-DOSが使用されているのは移植の手間を減らすため
  • X1版はミニマムなポーティングなので、全てのソフトは移植されていない。直接VRAMを書き換えているスクリーンエディタのSOCEは動かないが、OSのファンクションコールだけで動いているアセンブラのAZAは動いた

「ちょっとまて。詳しすぎるだろう。なぜそこまで詳しいんだよ」

「だっておいらが書いたソフトだもの」

「えー」

TOKYOナンパストリート豆知識 §

  • あとから発売されたX1版の方がバグが少ない
  • nnという中間コードコンパイラでBASICソースをコンパクトな中間言語に置き換えて実行しているから、ゲーム本体に基本的には機種依存性が無い。しかし、プロテクトが掛かってるから普通の方法では抜き出せないし、抜き出しても実行できない

「ちょっとまて。詳しすぎるだろう。なぜそこまで詳しいんだよ」

「だっておいらが書いたソフトだもの」

「えー」

オマケ §

「結局、MINI-DOSって何なの?」

「既存の開発環境があまりにクソなので、自前で作り始めたもの」

「依頼されたものではないの?」

「そう、自主的に開発を始めたもの」

「既存の開発環境はなぜダメだったの?」

「遅いか機能不足かの2つに1つ」

「遅いのならマシンをパワーアップすればいいじゃん」

「事実として、当時遅すぎたM80はPC-9801VM2の8080互換モードでは快適に動いたよ」

「じゃあマシンを買い換えれば……」

「無かったんだよ、当時は98すら」

「CPUをもっと速いのに交換して……」

「もっと速いZ-80は当時まだ無かったんだよ」

「じゃあ、TOKYOナンパストリートも自主的に開発を始めたもの?」

「いや、依頼されたもの」

「なぜ頼まれたの?」

「移植が技術的に難しそうだったから」

「なぜ?」

「元はFM-7用だけど、PC-8801はフリーエリアがもっと小さかったから」

「圧縮したんだね?」

「そう。確かNAMPALというベクターグラフィックフォーマットを作って、それに変換してサイズを稼いだ」

「そうか」

「しかしな。フェイクかも知れないと思われているとは思いもしなかった」

「わははは」

「これは思いも寄らないビックリ解釈だ」