「ヤマト2199TVの主題歌について語らねばならない」
「なぜ?」
「常識的には絶対に破綻するが、実際には破綻が回避されていたからだ」
事前 §
「31組がヤマトの主題歌を歌う。全てが大なり小なりスターだ。従って、おざなりに扱って良い歌手は1人もいない。その31組でTVサイズの宇宙戦艦ヤマトを歌う。さあどうする」
「どうするって」
「少しずつ1人ずつ歌ってつないでいく、という方式を採っても、とても31組が歌えるサイズはない」
「無理ってことじゃないか」
「そう。明らかに無理だ」
「じゃあ、同時に歌ったら?」
「かなりの人数が女だ。本来男の歌のヤマトを歌うのに似合わない。女達はスキャット専門……ということも、スターを相手にそれは無理だろう」
「じゃあ、ダメってこと?」
「いや。正しく上手く扱えば、良い歌にすることは可能だと考えていた」
「どうすればいいの?」
「相当思い切った音楽作りをしないと実現不能だろうが、何をどうすれば良いか分かった上で思いっきり大なたを振るえば可能だと考えていた」
「具体的には?」
「まあいろいろと」
実態 §
「実態はどうだったんだ?」
「非常に良く出来ていて、ビックリした。懸念事項は全て上手く扱われていた」
「どこが良いわけだ?」
- キーを上げて女性も歌いやすい
- 全員一緒に歌う。そこでは独立した各人のスター性は一律平等に存在しない
- 音に厚みがあるが、比較的軽い(大人数かつキーが高いから)。しかし、リズムを凝ることで、軽薄な印象は回避している
- クライマックス部で原曲から大きく逸脱したリズムをぶつけることで、単調さを回避して軽く流すことができなくなっている
- クライマックスを先に歌ってしまう全く新しいイントロ部が存在する
- 特にイントロ部で女声グループと男声グループが真上と真下を歌うことで中間に都市帝国が出現する
- キーが高いと言っても、相対的に最初のさらば地球よの部分はかなり低い (女声もかなり低い)。そのため、全体としての音域は広い
感想 §
「それで?」
「スターのスター性を剥奪しても、みんな下手では無いのだから、全体として良い声が出てくる。凄く豪華な合唱団だ」
「それで?」
「そういう大きな割り切りができた時点で、望みうる限り完璧な100点」
「評価は100点?」
「クライマックスでリズムを崩したのが見事なので、+20点を加えて120点だ」
「えー。100点以上かよ」
「まあな」
「それで結論は?」
「CD買おうかな」
「いや、もっと結論らしい感想を」
「4月7日。ヤマト2199に遭遇。侮り難し(アンダーライン)」
まとめ §
「最後にまとめてくれよ」
「この主題歌の決定的な(自分に取っての)長所は2つある」
- 個々人のスター性の剥奪をスパッと貫徹してやり切った
- リズムが冒険している
「スター性の剥奪とはどんな意味があるのだろう?」
「ヤマトはアニメでありアニメはヤマトである」
「は?」
「ヤマトからアニメブームは始まった。ヤマトがアニメの始祖となった。そして、ヤマト2199はこれまでの全てのアニメが渾然一体となった歴史を集約して引き継いでいる。そういう意味で、全てのアニメはヤマト2199に集約されている。あらゆる時代のアニメを代表する歌手が集まったことによって、そのテーマ性が主題歌に集約された」
「つまり一言で言うと?」
「"We are the anime world"」
「は?」
「まさに偉業。まさに神の御技である」
「神と言い切ることに意味はあるの?」
「実はあるのだ。その話は実は続く。別の話題があるのだ」
オマケ §
「なるほど、かみほー、つーてーら、なんだね?」
「違うぞ。ってかそれは神ですらない」
「だって、ヤマト2199はテラへ由来の企画なんだろう?」
「かみほー、つーてーらは別のテラへ」