「実は薬屋の店頭で地図を配っているのでもらったら、すぐ近くに林芙美子と夏目漱石の旧宅があると分かったので行ってみた」
「あったの?」
「既にあるわけ無い」
「林芙美子って、新宿区に無かったっけ?」
「新宿区立林芙美子記念館というのはあるが、それとは別の旧居だ」
夏目漱石旧居跡 §
「石碑が建っていたらおそらくこのへんで正解だろう」
「でも右と左が逆だよ」
「これは川端康成の書だ。エライのだ」
林芙美子旧居跡 §
「こっちはさっぱり分からなかった。位置も地図から見た推定」
「よく探したの?」
「周囲の道を一回りしてみたけど、これといって『ここだ』という説明はなかった。見落としただけかも知れないけど」
「でも地図には載っていたんだね?」
「そう」