「ヤマト2199第五章上映最終日最終回に行ってきたぞ。新宿ピカデリー22時からの回だ」
「何のために?」
「おいらは、ヤマト2199の真実が見たかった。しかし、おそらく公開初日や前夜祭に真実はない。真実が見えるとしたら、最終日の最終回だろう。そう思った」
「真実って、何か嘘があるみたいな言い方だな」
「そうさ。嘘があると思った。でも何が嘘か分からない」
ヤマトファンが終わる日 §
「実際に見てどうだったのさ」
「内容についてはこれ以上は言うこともない」
「ははは。何回も見てるからね」
「客の入りは、うーん、どれぐらいかな。半分ぐらい埋まってたかな。普通の映画と解釈すれば、最終日最終回なんてそれほど人が入らないので、映画としては健闘している部類だろう。しかし、大きいスクリーンじゃ無いので、そこは割り引く必要がある」
「スクリーン1じゃなくて?」
「スクリーン6だったかな」
「規模は明らかに小さくなってるわけだね」
「しかし、大ブームという感じには届いていない」
「そこは謙虚に受け止める必要があるわけだね」
「そうだな。ヤマトTV放送で気が大きくなっている人もいるかもしれないが、先は分からない」
「話はそれだけ?」
「いや。実は、真実が見えたと感じた瞬間があった」
「なに?」
「終わった後で拍手が起きてこなかったので、自分で叩いたら追従して拍手が起こってきた」
「それに何の意味があるのだい?」
「つまりね。多数派の観客にとって、拍手したいが拍手して良いか戸惑いがある、という感じなのだろう」
「それって拍手したいの? したくないの?」
「中間領域だろう。だから誰かが叩けば追従できるが、静まりかえった映画館で1人だけ拍手するほどでもない」
「微妙……」
「あとね。終電があるのかもしれないが、エンディングですぐ席を立つ人も目立った。明るくなるとすぐ立つ人もね」
「分かった。熱く感動して余韻に浸ってないわけだね」
「まあ終電の都合もあると思うので、急ぐ人はいると思うが」
「でも雰囲気としては、熱く感動とはちょっと違うわけだね」
「まあ、それが自分が見た真実の半分だ」
「残り半分はなんだい?」
「それはヒミツだ」
「なぜ?」
「だって、作品から受け取った印象なんて、事実かどうか分からないんだぜ」
「ぎゃふん」
「しかし、ヤマトファンであることを終了できる日が見えた。というか、気持の上では、既に冷めてしまった部分が既にある。しかし、ヤマト1974の真実は知りたいから、ファンの肩書きは返上してもヤマト研究家の肩書きは維持しよう」
「研究家って誰がくれた肩書き?」
「自称だ」
「自称の地平線を超えてしまったね」
「そうだ。もう後戻りはできない」