「実はハイパーウエポン 再生なき永遠の闇へに1ページだけ復活篇のページが存在すると知ってしまったので、わざわざ足立中央図書館まで行って閲覧してきた」
「なぜ、そんな遠くまで。23区の西の端っこの杉並から東の端っこまで行くなんて」
「うむ。実はこれって古書がべらぼうに高価。値段が万単位」
「えー」
「東京の都立図書館と23区の全ての図書館を串刺し検索して、結局足立中央図書館にしかなかった」
「だから行ったのか」
感想 §
「熟読する時間など無いが、ともかく全ページを見た。飛ばせるページなどなかったよ」
「夢中になってページをめくっている君が見えるようだ」
「まさに時間を忘れた」
「ヤマトは本当に1ページきり?」
「ちちち。復活篇はだ」
「は?」
「2520の模型のページが4ページあったので、計5ページがヤマト関連だった」
「ひぇ~」
「ちなみに、2520のページはブルーノアなどの設定も掲載されていたが、厳密に言えばこれは復活篇関連と言えないことも無いので、1ページ以上あったと言っても間違いでは無いだろう」
ヤマト以外 §
「それでヤマト以外で印象に残ったことを教えてくれよ」
- SR-71っぽい未来戦闘機
- ラ號の艦載機が、実は面白いと思った
- Gロボの変形機関車が載ってた
- 最後の締めの言葉がとても辛辣でGOOD! (再生なき永遠の闇へというタイトルも良い)
「えーと。ラ號って?」
「新海底軍艦。実はぜんぜん見てないから知らないのだ」
「なぜ知らないんだよ」
「あの当時、テレビアニメをフォローするだけで精いっぱい。OVAに目を向けるゆとりなど無かったからさ」
「今でも意見は同じかい?」
「今見るとラ號をかなり誤解していたと気付かされるよ」
「なぜそう思うの?」
「こいつリボルバー式の艦載機発進口を持っているんだよ」
「なんで海底軍艦がそれを持っていると意見が変わるんだよ。海底軍艦には無いだろ」
「海底軍艦は持っていないが、地球防衛艦轟天にはある」
「惑星大戦争かよ」
「ラ號のデザインって、リアリティを欠く中二病デザインなんだけど、実は作品そのものが地球空洞説を前提にするトンデモでリアリティを欠いているから実はこのデザインで作品には似合っているわけだ。デザインは作品に似合っていてこそ輝く」
「じゃあ、Gロボの変形機関車って何だよ」
「今川版ジャイアントロボ第1話冒頭で、列車が変形して敵メカになる。それまでドラマの舞台だった列車が、突然敵になるのだ。そして、ロボットみたいな色気の無い奴が実はヒロインだったと分かる。設定と物語が連動した良いシーンだ。あれは小林さんがデザインしてできたものではないかと思って、機会があれば聞こうと思いつつ、いつも忘れていたのだ」
「忘れていたのかよ」
「でも、そのものずばりの設定画が目に入ってしまったよ」
「わははは。でもピンと来ないんだけど」
「英語の動画はあった。これの3:26ぐらいから出てくる列車」
「しかし、君がなぜGロボを語る? OVAに目を向けるゆとりなど無かったのだろう?」
「Good Questionだ。実はなぜかバンダイから試写会の葉書が来て、Gロボの第1話は見られたのだ。途中まではLDを買ってたよ」
「なぜ試写会の葉書が来たわけ?」
「さあ。申し込んだわけでは無いよ」
「しかし理由があるだろう」
「けっこう、LDを買ってたからかな」
「OVAに目を向けるゆとりなど無かったのだろう?」
「どちらかといえば、旧作のボックスが中心だった」
「ぎゃふん」
「しかし、今見るとこの映像のどこが違うのかが良く分かるよ。いろいろなところで、工夫とこだわりが光る」
オマケ §
「つまりね。小林誠さんはニコニコ笑って気軽に読者のレベルに降りてきてファンサービスしてくれるけれど、実は読者にもハードルを課している。そして、常に読者をじっと見ている。なぜなら、ハードルは高すぎても低すぎてもいけないからだ。ハードルの高さは常に読者に合わせて調整されねばならない」
「なぜ? 高ければ高いほど良いのではないの?」
「そうじゃない。本気で向き合ってくれないと意味がないので、安易に何もかも簡単には見せない。しかし、見てくれないと困るので誰も見られないほどハードルを上げることはできない」
「消費者に対するハードルとしては高くないか?」
「消費者なら別に気付かなくてもいいよ。商品があって対価がある。それでおしまい。問題はその先の世界」
「その先って何だよ」
「自らが自発的かつ能動的に動く世界だ」
「意味分からないよ」
「つまり口を開けて待っているだけの状態ではない態度」
「ひ~」
「素人がいい加減なことを言うなら、アートというのは、本気の表現なのだ。従って、適当に消費されるわけには行かない。本気には本気で答えて欲しいからね。だから、安易には消費できないように作られる」
「ハードル高いよ。難しいよ」
「ハードルは高いが、言ってることはそれほど難しくないはずだよ」
「なぜそう言いきれるの?」
「アーティストは、分かっていただくことを前提に作品を作っているのだ。ハードルを上げるのは見る者を選別するためではない。見る者には本気になって欲しいからだ。だからそれほど難しいメッセージは込められていないはずだよ」
「ひ~」
「だからさ。読み取ろうという意志があれば何かは読み取れるはずだ」
「意志がないなら?」
「ピカソはただのデタラメさ」
「もうちょっと分かりやすい説明はないの?」
「アートではないが、映画のフライトはね。その点で問題がある」
「なぜ?」
「テーマに普遍性が無い。飛行機の特殊な飛び方は理解されにくいし、麻薬も日本ではピンと来ない人が多い」
「なるほど」
「怪盗グルーの月泥棒なんかも、子供の頃に宇宙に夢を見た世代なら国境を越えて共感できるのだが、世代が違うと共感が難しいという意味で問題がある」
「じゃあ、良い例は?」
「映画でか? アートでか?」
「両方で」
「映画だと『十二人の怒れる男』なんていいよね。裁判制度は国や時代によって違うかもしれないが、扱っているテーマには普遍性がある。時代も国境も越える」
「アートなら?」
「この間見た貴婦人と一角獣。あれも五感+αがテーマだが、人の五感は昔も今も同じ。あれも普遍性がある」
「なるほど」
「だからね。超天才しか理解できない宇宙の神秘なんて隠されていないから。絶対に分かるはずだと確信を持って向き合うことが大事だよ」
「でも、幻想と神秘を描いた作品だってあるじゃないか」
「それが設定された高いハードルなのだ。その向こうにあるのはそうそう難解な世界ではないはずだ」
「なぜそう言いきれるの?」
「既に言っただろう。分かっていただくために作品はあるのだ」
「ぎゃふん」
オマケ2 §
「じゃあ具体的にハードルってどれのこと?」
「教えてあげない」
「ケチ!」
「ネタバレは無粋だし、そもそも自分の答えは自分で探すものだぜ」
「自分の答えって何だよ。正解は1つじゃないのかよ」
「オフコース」
「何でだよ」
「実は面白いことに気付いた。「ハイパーウエポン 再生なき永遠の闇へ」は、「ハイパーウエポン 再生なき永遠の闇へ」というタイトルなのだが、これに2005という年号を付けているサイトがしばしば見つかる。名称の表記が揺れているんだ」
「どこのサイトだよ」
「たとえばAmazonとか」
「ひ~」
「だから結末が1つに決まるとは安易に期待するなよ」
「正解すら提示不可能? 君ってもしかして意地悪?」
「そうだな。ボク『も』意地悪なのかも知れないぞ」