「実は最近ちょっとチェック事項があってヤマト復活篇のDC版じゃなくて劇場公開版の方を見たんだ」
「それで?」
「実は、アマールに介入するヤマトの淡々とした盛り上がらない演出を見てハッとした」
「なんで?」
「DC版の方は音楽がちゃんと付いて盛り上がる。でも、劇場公開版は盛り上がらない。むしろい重苦しい」
「DC版の方がいいってこと?」
「分かりやすい」
「劇場公開版は演出が間違ってるわけ?」
「そうじゃない。突き放した乾いた演出なんだよ。実はアマールへの介入を決意したヤマトを肯定的にも否定的にも描いていない」
「ニュートラルってことだね」
「そうだ。そして、これって演出技法として2001年宇宙の旅に近い」
「それってどういうこと?」
「つまりね。劇場公開版の復活篇は辛口なんだよ。2001年宇宙の旅と同じぐらい辛口で皮肉たっぷりで、演出が突き放されて乾いている。そこから何をつかみ取るかは見る者に任されている。だからアマールに介入を決意しても音楽でガンガン盛り上げたりはしない」
「じゃあそれっていったいどいうこと?」
「映画として、重苦しい。古代の決断は必ずしも肯定されていない。事実としてパスカルも艦隊の大半もこのあとの決戦で失われてしまう」
「SUSとの決戦で勝ったとは言いがたいわけだね」
「そうそう。決着は結局ブラックホール内への突入まで遅らされる。それにしたって、メッツラーが口を滑らせたから何とかなった話。しかも、ヤマトがボロボロに壊れる結末だ。地球は守られても到底勝ったとは言えない状況」
「DC版はどうなんだい?」
「DC版はね。実は地球脱出を成功させているわけで、地球は失われているけれど人類は勝利して終わっているわけだ」
「ニュアンスが違うわけだね」
「そうそう。地球が生き延びた劇場公開の方がハッピーかと思いきや、そうでもない」
再評価する2001年宇宙の旅 §
「今改めて見て2001年宇宙の旅を再評価して、こういう乾いた突き放した演出は好きだと思ったので、実はそれと似た匂いを感じた復活篇劇場公開版をもう1回全部見て再評価してみようかと思ったよ」
「じゃあ、見ろよ」
「今は無理。2199フィーバー中だから」
「ぎゃふん」