「七色星団が目玉の第六章なのに、なんで第21話を見たの?」
「伊東が死んじゃうから」
「おいおい。ドメルよりも伊藤の死かよ」
「うむ」
「それで感想は?」
「いちばん良かったのは以下のところだ」
- 青い肌のフラーケンとハイニが、青い肌の所長の肌色の肌の二等ガミラス人いじめで怒っていること。しかも、実際に手が出る寸前まで行っているところ。
「フラーケンとハイニからは、ノランが同胞として承認されているわけだね」
「そうだ、仲間がみんな死ぬほどの過酷な任務に従事してきたことは知っている。肌の色が違うと言っても、単にヤマトに変装して潜入するにはその方が便利という程度だろう。彼を差別して喜ぶような下等な趣味は無さそうだ」
「でも所長には下等な趣味があるわけだね?」
「このパターンは実は洋画などでは良く出てくる。職務に忠実な有色人種と、だらけた白色人種というパターンだ」
「それだけ?」
「いや。それに、だらけた白人に怒るまともな白人という要素が加わる場合もある」
「第21話はそれに近いわけだね」
芸術品だ §
「第21話というのは本当に難しい」
「なぜ難しいの?」
- 敵味方の軸が不明確かつ流動的
- 情報量が極めて多い
- ビックリ展開も多い
「それで、第21話はどうなの?」
「うむ。どう考えても前後編の2話分のボリュームがあるだろうと思うのだが、これを1話に収めて、最低限必要な情報を全部盛り込んである。構成が繊細な芸術品だよ。1分でも足りなければ成立していない」
「第六章の目玉は七色星団ではないの?」
「実は20話よりも21話なんだ」
「どうして?」
「ドメルは負けに七色星団に行ったようなものだ。実はドメルのピークはビーメラに向かうヤマトを包囲した時。七色星団ではない」
「瞬間物資移送機とドリルミサイルという切り札があったのでは?」
「瞬間物資移送機で送り込む航空機は不足し、ドリルミサイルはすぐに入り込まれる民生品転用。要するに大戦末期の超兵器だよ」
「超兵器って、もしあれが実用化されていたら逆転できたという夢の兵器だね?」
「そうそう。でもほとんどは夢想。本当にものになっても逆転は難しい」
「えー」
「だからさ。第六章の目玉は実はあらゆる戦闘にはなく、ガミラスの森雪なんだよ」
「第21話は、ガミラスの森雪が本格的に活動を始める契機ってことだね」
「ノラン話が本格的に始まるタイミングでもある」
「ノランは重要?」
「そうだ。重要だ。ノランというナイトを得た森雪は、古代とどちらを選ぶのかという究極の選択を求められる」
「それは七色星団より重要?」
「そうだ。ヤマトのテーマは愛だからな」
「あい」