2013年07月29日
トーノZEROアニメ感想宇宙戦艦ヤマト total 7180 count

ヤマト2199TV第17話感想

Written By: トーノZERO連絡先

「良かった。以上」

「それだけ?」

「ドアの向こうの真田に叫ぶ古代が、もっと凄みがあったと思ったけど、そうでもなかった。印象なんてあてにならんね」

「ひ~」

「でも内容は良いよ。ともかくヤマトが一発も撃たない。古代守艦も撃たない。戦闘なんて、警備ロボットを撃ったぐらい。それでもドラマとして成立する」

「戦闘しないヤマトの方が好きってことだね」

「そういえばアバンがなかった?」

「本編が長いのかね」

Fight For Liberty §

「新OPのFight For Libertyだけどね。だんだん分かってきたよ」

「何が?」

「この歌の本質。そして、なぜこの歌がかくも酷くヤマト2199OPとして叩かれるのか」

「じゃあ、本質って何?」

「閉塞した時代をぶち壊すために戦うぞって歌なんだよ。実際、世界は閉塞している。日本も閉塞している。アニメも閉塞している。オタクも閉塞している。バンダイも閉塞している」

「もっと分かりやすく言ってよ」

「だからね。戦おうとしない奴に手を差し伸べる奴はいない、という歌なんだよね。だから、戦うってことだ」

「は?」

「戦わない奴に対する強烈な否定をぶつけているわけだ。ここがポイント。もう1回言おう。自分の運命を切り開くために戦おうとしない奴はダメ、というメッセージが込められている」

「それで?」

「戦おうとしない奴等が掲げる秩序はぶち壊さねば前に進めない。だからぶち壊してイスカンダルに向かうわけだ。俺達のイスカンダルにね。戦わない奴等が唱える彼らのイスカンダルじゃない。俺達のイスカンダルってことだ」

「ますます意味が分からないね」

「うん。ここがポイントその2」

「なんでポイント?」

「だからね。ヤマトを知っているという事実にあぐらをかいて、ささきいさお大先生以外のOPなどけしからんと言い切って、新しい音楽を一切認めようとしない古参ファンは、この場合、戦わない奴等であり、Fight For Libertyが否定する対象に含まれてしまうのだ」

「えー。まさか」

「だからさ。偉そうに知った口をきく年寄り共は全部打破されるべきもの。自分がオータムマガジンに書いてきた文章もそれに含まれる」

「よく聞こえなかった。もう一度言ってくれ」

「ガミラスのだ」

「違うだろ」

「だからさ。自分の書いたものも、若いヤマトファンから見ればうざい。打破すべき旧弊なんだよ」

「ちょっと待て。君のヤマト論も全部含まれるって?」

「そう言ったよ」

「その割に君は嬉しそうだぞ」

「そうだ。ワクワクするね」

「自分が否定されて嬉しいのか?」

「自分の書いた過去の文章はもう過去だ。ヤマト2199世代にはマッチせんよ。もう古い」

「そこまで言い切るのかよ」

「そうだな」

「じゃあ、劇場公開版のささきいさお版OPとは別の世界ってこと?」

「そうだ。劇場は古参ファンのもの。しかしTVはもっと別の層に向けたもの」

「分かった。TVで2199見てる一般的な普通の層は、語りすぎる古参ファンがうざいわけだね」

「彼らは2199は劇場で先行して見てるしね。いくらでも思わせぶりなことを言う。でも、大きなお世話なんだよ」

「ネタバレされたくはないわけだね」

「それ以上に価値観を押しつけられたくないわけだ。TVでヤマトを見ていい話だと思ってるのに、本来のヤマトはこんなものではないとまくし立てられれば、面白くは無いだろう。感性が否定されたようなものだが、アニメのような娯楽作品は人それぞれだ。正しい唯一の解釈などは存在せんよ」

「じゃあ、一言で要約すると君はどうしたい?」

「閉塞した時代をぶち壊す側に立つさ」

「なんで? 何もかも決まっていて安定した時代の方が好ましくはないの?」

「好ましくない。なぜなら、何もかも決まっていて安定しているとは、何も産み出さない死んだ世界を意味するからだ」

「じゃあ、どこがいいの?」

「混沌と秩序の境界領域だ。そこで踊りつづけるしかない」

「どんな音楽で?」

「じゃあ、Fight For Libertyで。2期EDのBest of my Loveでもいいぞ」

「宮川音楽、もう愛してないの?」

「YAMATO SOUND ALMANACを全部買う気でいる人間になんてことを言うんだ」

「えー、矛盾してるよ」

「だからね。おいらはささきいさおファンだが、だからといって、水木一郎アニキの歌を否定する訳では無いんだゼーット。宇宙の海は、お~れ~の海♪」

「それが音楽の豊かな多様性ってことだね」

それで §

「で、歌が叩かれる理由って?」

「だって、昔からのファンだということだけにあぐらをかいているお前らへのダメ出しに解釈できないこともない歌だぜ」

「批判されて嬉しい人はいないってことだね」

「うむ」

「でも、君は嬉しそうだぞ」

「おいらも批判する側だからな」

「えー」

オマケ §

「じゃあ、君はいったい何を批判するわけ?」

「たとえばさ。沖田が古代と酒を飲まないだけでおかしい、おかしい、作品が分かってない、と言い立てる連中が山ほど出てきたけどさ。最終回まで見たわけでもないのに、なんでおかしいって分かるの? みんな超能力者だから見なくても結末が分かっちゃうわけ?」

「でも、やっぱり沖田と古代は酒を飲んで欲しいのがファン心理だろ?」

「それを言ったら、そもそも沈没戦艦大和を改造していない時点で文句を言うべきだ。行進もやってない。山本に至っては女になってやたら出番が増えた」

「たしかに」

「言う気になればいくらでも言えるけどな。おいらは言ってない」

「なんで?」

「だって、おいらは最終回まで2199をまだ見てないもの。結末も分からないのに、個々の展開が何のためにそう描かれているか分かるわけが無い」

「つまり?」

「おかしな展開に見えたものが、結末で綺麗に収斂して終わるケースだってあるわけだ」

「もうちょっと分かりやすく説明してくれよ」

「リメイクっていうのはね。同じにせよという圧力と、変更せよという圧力を両方受けるの」

「なんで変更するの?」

「展開が分かってしまう映画は見なくてもいい映画だから。それに、ファンは同じを望むが実は同じだともの足りない。作品として失敗する」

「えー」

「だからね。リメイクは同じ場所がいくつもあるけれど、変更されている場所もあるのが普通。そして、どこが変更されるかは予測できない。簡単に予測できたら見なくてもいい映画になっちゃうからね」

「分かった。最後まで見ないと何も分からないってことだね」

「そうだ。最後まで見ないとザイダベック号の出番は一切分からない」

オマケ2 §

「でも、ヤマトは戦うものだ、って言い切りはいいの?」

「いいと思うぞ」

「なぜ?」

「戦う男、燃えるロマンって歌ったことがないのか?」

「ぎゃふん」

オマケIII §

「主題歌問題ってさ。結局、世代を超えてみんなで歌える歌が欲しいという意味で、あの宇宙戦艦ヤマトが前半の主題歌になった時点でOKという気がする。あれがヤマトの主題歌なんだって若いファンも認識して、一緒に歌えると思うよ」

「その先はまた別ってことだね」

「最低限の共通基盤はあった方がいい。けど、何もかも統一すると文化が貧しくなる」

「えー」

「昭和ヤマトの世界に限っても実は統一されていなかったよ。ただ同じ歌を全員歌えるだけ」

とんがり帽子のオマケ §

「第17話のスタッフを改めて見ると、信じられない名前があった」

  • 作画監督 高木弘樹、名倉靖博

「名倉靖博ってメルモ?」

「メモルだよ。いくらふしぎなメルダでメルモネタを飛ばしたからと言って、それは違う」

「ひ~」

「それに、ムーミンでも有名」

「だからリュックマンはスナフキンなんだね」

「しかし、そういう背景を知っていると、戦闘メカアニメのヤマトを違和感無く描けるのは凄い」

「ほとんど戦闘無いエピソードだから」

「でも、こういう人選が人物描写の良さにつながっているのだろうね」

「それよりも君がメルモを知っているのが驚きだよ」

「LDボックス買ったことあるし、サントラCDだって持ってるぞ」

「えー。戦闘メカアニメじゃないのに?」

「でも宇宙船が出てくる宇宙人アニメだぞ」

「うそー」

「生きたかったら死になさい、死ぬにはまずバタンキュー♪」

宇宙戦艦ヤマト

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