「今回の目玉は何?」
「けっこう踏み込んだことだ」
「どういうところに?」
「たとえば、整数型の最大値に1を足すとオーバーフローして例外が起きるか値が化ける。通常はそこまで。でもね、この本では、例外を起こさない場合、その結果が整数型の最小値になるという事実と、なぜそうなるのかという理由を書いてある」
「踏み込みが深いのだね」
「そうだ。だから、応用力が付くぞ」
「どのへんに?」
「&と&&の演算子の違いなんかも、きちんと説明できるようになる」
「へー」
「符号付き整数を符号無し整数にキャストすると化けるけど、符号付き整数に再キャストすると値が戻ってくるとかね。そういう限界領域の話がいっぱいある」
「そんな話を知っていてどんな得があるの?」
「狂った数値からバグの位置を推理しやすくなるし、より効率的なソースを書けるようになるかも知れない」
「効率が上がるの?」
「たとえば、0から200までカウントを繰り返す仕様と、0から255までカウントを繰り返す仕様では後者の方がずっとソースが簡単になる」
「へー」
「これだけためになる本が100円なんだから、暇つぶしに買って読んでおくれ。読めば読者の血肉になって役立つから。ああ既に知ってる人は今さら読んでもためにならないけどね」
「でも買って欲しいのだね?」
「うん。買って買って」