2013年08月06日
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感想・映画「舟を編む」

Written By: トーノZERO連絡先

「一応、辞書を作る映画だと言うし、見たいと思った」

「それで?」

「下高井戸シネマでやるというので、見てきた」

「結果は?」

「微妙。わざわざ無い時間を割いて見るほどでも無かった」

「えー」

感想 §

「なぜ微妙なの?」

「出版の末端ぐらいには位置するライターとして映画の内容に意外性が無い」

「なるほど。君が見る映画では無いって事だね」

「と思ったのだが、問題はもっと深刻かも知れない」

「なんで?」

「実はこの映画、本当に難しい問題を全部避けて通っている」

「えー」

「たとえば最後のハードルは見出し語の抜けのチェック。でも、これは単なるマンパワーの問題。下手をすればマシンパワーの問題。本当の意味でやばい問題ではない」

「マシンパワーの問題って……」

「電子データになっているなら、単純に見出し語の比較だけで終わってしまう」

「そんなあ。それじゃ盛り上がらないよ」

「説明文の問題も、循環参照だけ。本当に脂っこいやばい問題には全く触れていない」

「循環参照も脂っこくないの?」

「脂っこいけど、それほど致命的というほどでもない」

「もっと分かりやすい感想は無いの?」

「分かりやすいというと?」

「素人にも良く分かる感想だよ」

「分かった」

「じゃあ言ってくれ」

「話が何もかもとんとん拍子で上手く行きすぎる」

「だって、同僚は配置転換だし、年配のおじさんは死んじゃうじゃないか」

「配置転換とか年配男性の死は現実にありふれていて、それはドラマのうちに入らないよ」

「えー。せめて良かったことを1つぐらいは言ってくれよ」

「除夜の鐘を聞きながら仕事をしているところは良かったな。くどくど説明せずに、今はいつであり、どのような状況か描いている」

「休んでいて当たり前の時間まで仕事に没頭しているわけだね」

「あと、オフィスの様子が20世紀の時と21世紀の時でちゃんと雰囲気が変わっている。20世紀の時は98っぽいパソコンが置いてあるけど。21世紀のときは今どきっぽいパソコンだったりするし」