「神保町の駅で思ったのよ」
「なんて?」
「あっ! ここからなら一駅ついでに乗るだけで大手町に行けるって」
「だからていぱーく?」
「もうすぐ閉館だから。移転するらしいが、大手町のていぱーくはおそらくこれで最後の訪問」
展示 §
「これが最後だと思って全部ちゃんと見ようと思ったが量が多くて挫折した」
「えー」
「しかし、樽型に歪んだブラウン管を見て、リニューアルの必要性が分かった気がした」
「樽型か!」
「しかも、樽型になってないにしても、ブラウン管モニタも一杯使ってある」
「な、なるほど……」
内尾夕子の絵封筒 §
「切手がデザインの一部になっている面白い絵封筒だ。やはり見ていて楽しいぞ」
「面白そうだね」
日本列島ご当地ポスト写真展 §
「品川駅の電車型ポストは例外では無く、全国に変なポストはあるのだと分かった。特に、氷見だったかな、忍者ハットリ君ポスト」
「へ~」
B1休憩室 §
「立ち入り禁止とは書いていなかったので、地下1階の休憩室にも行ってみたよ」
「何があった?」
「椅子と机と飲み物の自動販売機」
「混んでた?」
「人はいなかった」
「誰も休んでいないわけ?」
「いや、1階の休憩室ですらガラガラだったのだ」
コンサート §
「1階の休憩室で一休みして帰ろうとか思っていたら、ウクレレのミニコンサートをやるというので、30分だから聞いてきた。ドラえもんとかアンパンマンとか上を向いて歩こうとかやった」
「コンサートか」
「子供連れがどんどん後から入ってきたので、席を譲って自分はどんどん後ろに下がっていったよ」
「音楽はどうだったんだよ」
「ベースが良かった」
「は?」
「上手いよ、あのベース。あの楽団は良いベースを使っていると思う。あのベースのおかげでウクレレの音も引き立っている」
「ベースの音しか聴かない人が来たよ」
「そんなことはないぞっ!」
「そ、そうか?」
「しかし、ミニコンサートの時間に、丁度会場のすぐ近くの休憩室にいたのはラッキーだったな」