「これなんか凄くおかしい」
「どこが?」
「浮気して家を出た奥さんに、ハチと称するハチのコスプレの男が話しかけてくる。しかも記憶を辿って過去に行くが、人間の記憶なんて当てにならないから過去がどんどんおかしくなる」
「おかしな結末?」
「いや、ちゃんとハッピーエンドになる」
「でも途中はおかしいわけ?」
「そうだ。自分に都合良く愛人の家に転がり込もうとしたら人格の壊れた愛人で、奥さんの記憶を消すと大まじめに頭を殴られるし。話はどんどんぐちゃぐちゃになる」
「結局、都合の良い浮気はできないわけだね」
「しかし、ハチだよ。あのハチは面白い」
「どんなハチ?」
「BUGってハニーのハニーちゃんっぽいとも言えるし、FINAL FANTASY 7のミツバチの館のコスチュームっぽいとも言えるが、形式が類似しているだけでどちらとも違う」
「どこが違うわけ?」
「あっちは女だが、こっちは男だ」
「女装?」
「違う違う。ハチにはオスもメスもいるんだ。ハチの格好をしたら女装って事は無い」
「そもそもなんでハチなんだい?」
「だからさ、夫婦のよりを戻す役割は、男でも女でも角が立つ」
「ハチなら浮気の相手にならないから良いわけだね」
「寓話の物語を駆動させる役割としては悪くない」