2013年11月17日
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砧大塚・静嘉堂文庫美術館「幕末の探検家 松浦武四郎」

Written By: 川俣 晶連絡先

砧大塚 §

砧大塚

「砧大塚ってなんだい?」

「砧公園の中にある土を盛った小山」

「なぜ見に行ったんだい?」

「Navitimeの地図で静嘉堂文庫美術館に行く経路を再検討しているときに大塚山古墳という文字を見てびっくりした。そんなものは見たことが無い」

「それで?」

「見に行った。そうしたら、古墳と思われていたけど古墳じゃない砧大塚があったわけだ」

「わははははは」

「つまり、大塚山古墳という記述は何らかの理由で地図に残ってしまった古い情報と思われる。最新の地図類には一切出てこない名前だ」

静嘉堂文庫美術館・展覧会「幕末の探検家 松浦武四郎」 §

幕末の探検家 松浦武四郎

「こっちが本題だ」

「なぜ行ったの?」

「日経の新聞に記事が載っていたから」

「松浦武四郎って誰だ?」

「幕末の北方探検家、北海道の名付け親、明治初期の多趣味な人」

「へー」

「明治初期に古いものは何でも集める好古家という人達がいたような説明の展示であったが、非常にコレクションの幅が広い」

「なるほど」

「しかし、世俗的な出世にはあまり興味が無いような感じでもある」

「そうか」

「しかし、一畳の部屋が展示されていて、70才で足腰が弱くなってそこで趣味にいそしんだというのは意味深だな。結局足がメインということだ。そして、趣味には一畳あればいい」

「それでいいの?」

「そうさ。それでいいんだ。旧ルパンの最終回でルパンがご先祖のコレクションを要らないと言うのと同じことだ。厳選された材料で作られた一畳の部屋で十分」

「なるほど」

「それからね。奇妙なことに、昔のとある事件を思い出した」

「どんな事件?」

「とある技術を紹介したときに、OSS信者が『それは本当のオープンでは無い』と言いがかりを付けてきた。あたかも嘘つきの犯罪者みたいな言い方をされたので、まるでメンツをまるまる潰されたようなものだ。しかも他人まで含めてだ。さすがにそれは捨て置けない」

「つまり、自分だけならともかく他人のメンツまで潰すようなことを手助けしたとは思われたくないわけだね」

「そうだ。しかも、こちらは何も悪いことをしていない。要するに信者の信仰に反しているとしても、信者でも何でも無い人には意味が無い。そんなルールは一度も承認したことはないし、ルールを守ると誓ったこともない。そんなルールは世の中に山ほどある。全部守れるわけがない。だから、おまえのムラのローカルルールでムラの外の話をするな、と意見をしたのだが、一切通じなかったよ」

「なんで?」

「知らん。他人の心の中のことなど何もワカラン」

「じゃあ現象としての解釈はどうなの?」

「田舎者なんだろう。自分のムラと世界の区別がつかないのが本質的な意味での田舎者だ。たとえ東京都千代田区に住んでいてもローカルな世界と、ワールドワイドな世界の区別が付かないなら田舎者だ」

「田舎者に意見はしないの?」

「しても無駄だからしない」

「じゃあ田舎者は田舎者のままでいいの?」

「いいわけがない。意味が無いから意見しないのであって、問題が無いのとは話が違う」

「じゃあ、要するに何?」

「OSS信者とか、Apple信者とか、Java信者とか、その他もろもろの思考停止して教義に従うことしか頭に無いいろいろな信者は、どれほど社会的な迷惑であっても横に置くしかない。相手にするときりがない」

「ところで、なんでその話が松浦武四郎と関係するわけ?」

「そこだっ! 実はその疑問を自分でも抱いた。当然だよな。何の脈絡も無くそんなことを考えてしまったのだから」

「じゃあ何?」

「実に立派な北海道の地図があったり、雑多な時代の遺物があったりして、そこから分かるのは自分と趣味的に似ていることだ」

「えっ?」

「伊能図ってさ。基本的に海岸線だけなんだよ。川や山はあまり書かれていない。しかし、この北海道の地図は川も山も書き込まれていた。その点で異質だ。そして、こっちの方が好きだ」

「へー」

「そこから逆算すると、たぶんね、松浦武四郎という人は常識に囚われないで頭を使う人だったと思う」

「なぜそう思うの?」

「無制限に過去に門戸を開くことは、実は非常に新しい刺激に満ちたスタンスだからだ」

「過去なのに?」

「過去ほど新鮮味に満ちた刺激的な世界は無いぞ。ただし無制限に門戸を開けばだ。限定された戦国大名だけを過去だと思うなら話は別だ」

「へー」

「地理も同じだね」

「どうして?」

「この道を進むとこのあたりで出そうだと思っても、実際に出ないことも多いのだよ」

「分かった。川を下れば海に出ると思っても湖に出ちゃうことがあるわけだね?」

「そうそう。けっこう新鮮」