「史実の太平洋戦争と完結編を比較を真剣になると矛盾が浮き上がることに気付いた」
「どんな矛盾?」
「QoAはクイーン・オブ・アクエリアスとするぞ」
項目 |
場所 |
日本のメタファ |
連合軍のメタファ |
勝つ側 |
敵対当事者 |
奇襲による勝利 |
真珠湾 |
ディンギル |
地球 |
ディンギル |
ザール |
発進直前の壊滅 |
ミッドウェー |
ディンギル |
地球 |
地球 |
ザール |
新兵器の投入で逆転 |
ソロモン |
ディンギル |
地球 |
地球 |
ザール |
大和/ヤマトが敵地に乗り上げて決戦 |
沖縄 |
地球 |
ディンギル |
ディンギル |
ルガール |
空から来る脅威になすすべない |
本土 |
地球 |
アクエリアス |
アクエリアス |
QoA |
援助者(ソ連=デスラー)の到来 |
大陸 |
ディンギル |
地球(デスラー) |
デスラー |
ルガール |
核の使用→終戦 |
本土 |
アクエリアス |
地球 |
地球 |
QoA |
「つまりなに?」
「こういうことだ」
- 地球つまりヤマトの役割が何回も入れ替わっている (連合軍の役割と日本の役割を行ったり来たりしている)
- しかも、ザールとQoAには勝ったが、地球(ヤマト)はルガールに勝っていない
「スカッとしないわけだね」
「完結編は以下のような構造に見えたはずだ」
- 最大の敵はルガール
- 厳しい試練を与えるけれど慈愛のQoA
「そうだね」
「でもさ。この構造なら以下の方がしっくり来る」
- 最大の敵はQoA
- ルガールは脇役のデスラーに始末を任せて良いぐらいの小物
「ひ~」
「別の言い方をすれば、ルガールは子殺しを担うためだけに出てきたパパさんキャラに過ぎないとも言える」
「しかし、ラスボスに見えるね」
「そうだ。そこに作品としての分かりにさが発生してしまう。まあそれ以前に、地球の立場が日本と連合軍を行ったり来たりする不統一で混乱が生じているとも言えるけどね」
「ひ~」
つまり §
「つまりだね。ヤマト完結編で重水を積み込んでヤマトを水爆にするという発想は、ヒロシマナガサキなんだな。なぜ水爆なんて、2203年にしては古めかしい爆弾が出てくるのかと言えば、それはヒロシマナガサキの原爆のメタファだからだ」
「でも原爆搭載機は特攻自爆なんてしてないよ」
「そこは、坊ノ岬沖海戦が反映されている」
「混乱してるね」
「最も本質的に回避不可能な問題がやっと見えたよ」
「それはなんだい?」
「以下の2つが矛盾して絶対に物語が1つに収束できない」
- 映画的な要請として主人公側が負けることは許されない
- 戦艦大和をモティーフにした宇宙戦艦ヤマトは史実を下敷きにすると撃沈されて沈むことが妥当である
「主人公が負ける映画もあるじゃないか」
「そこまで渋いものは、立場上作れない。かなりの低年齢層まで見に来るのだよ」
「うーむ」
どうすれば良いのか §
「結局、どうすれば良いのか」
「どうすれば良いの?」
「復活編DC版を前提にするなら、実は主人公側が負けても良い。その前提で組み直すしかないだろう」
「つまりなんだい?」
- 地球側の立場を太平洋戦争の日本側の立場に似せて、それによって一貫させる
- 最終的にヤマトは沈む
- アクエリアスの水は防げない
- 最後に来る援軍はデスラーではなくベムラーゼで、ソ連の対日参戦に相当し、地球に敵対する
- 完結編世界の水は時間が経つと引くので、それまで生き延びた地球人は新しい世界を築き始める
「TVアニメのハーロックの最終回みたいな結末になるわけだね」
「そうだ。ただし、ハーロックがアルカディアで旅立っていくのではなく、亡霊の沖田艦長が亡霊のヤマトで旅立っていく」
「怪談だ」
「でも完結編でも最後は沈んだはずのヤマトがQoAのところに飛んでいって終わるんだぜ。同じだよ、同じ」
「ひ~」