「これを見た目的は?」
「バランが出るから」
「バランは活躍した?」
「ほとんど活躍しなかった!」
「……」
「でも面白かったよ」
「なんで?」
「おそらく、怪獣映画が斜陽で本気で救おうとした世代の映画。おそらく人間主役の最後の世代の怪獣映画なんだろう」
「なんでそう言い切れるの?」
「つまりさ。この映画での怪獣は猛獣の一種なんだよ」
「それで?」
「猛獣を上手く使った方が勝ち、上手く使えなかった方が負ける。そういう内容。それに最後はSY-3号というメカで決着を付ける。もちろんクルーは人間だ。人間が勝って終わる映画なんだ」
「正義怪獣がなぜか人間の味方で悪の怪獣を倒してくれる映画とは違うわけだね」
「そうそう。だから、実はね、怪獣戦のシーンではちょっと寝ちゃったけど、最後にSY-3号の活躍になると急に目が冴えた」