「これはアニメかい?」
「違います」
「これは特撮かい?」
「違います」
「ではなんだい?」
「1994年のただの洋画です」
「なぜそんな映画を見たんだい?」
「TSUTAYAの会員が切れるという葉書が来てね。そこで、準新作か旧作を1本貸してくれるというので、適当に選んで借りてきた」
「じゃあ、そもそも膨大な映画の中でシリアル・ママを選んだ理由を教えてくれよ」
「主人公女性が、何となくスペース1999のヘレナ・ラッセル博士に似てるように思えたから」
「下らない理由だ」
「ダークなコメディというのも面白そうだったしね」
「ひ~」
「まあ実際面白かったから問題無いぞ」
「どこが面白かった?」
「救いがどこにも無い。時間と努力を費やして、問題が解決されるかと思いきや振り出しに戻る。この救いが無い感じが凄くいいぞ」
「いいのかよ。救いが無くて良いのかよ」
「そうそう。凄く笑えるしね」
「救いが無いのに笑えるのかよ」
「コメディだから」
「笑えるのに救いが無いのかよ」
「そうそう。カケラほどもない」
「ひ~」
オマケ §
「ミンキーモモの出動お助け隊には没になった第二稿のシナリオというのがあってね。時間と努力を費やして、問題が解決されるかと思いきや振り出しに戻るという救いの無さはまさに同じ。ダメなのかと思ったけど、要するにミンキーモモに向かないだけで、あれはあれでありだったんだろうね」
「そうなのか?」
「実例の映画を目の前にして、今ごろ目から鱗が落ちたよ」
「そういえば、昔Niftyにあった【アール・ウィングス~月の光の王女様】という短編小説が第二稿ベースだと小耳に挟んだぞ」
「下らないことをよく覚えているな。ちなみに結末が改変してあって、小説はハッピーエンドになっている。救いの無さはアレには入っていないので変な期待はするなよ」
「つまり、没になった第二稿を小説形式でサルベージする際に、救いの無さはダメだと思って抜いたわけだね」