「劇場版はまだなのに、なんで終わってるんだよ」
「だからさ。ヤマトの艦橋がロボになるとか、中から艦娘が出てくるとか、そういうネタが受けてバンダイにそういう商品を作れとか言ってる状況を見るとね。もうヤマトは終わってるかも知れないと思うよ」
「ひ~」
「それは少なくとも自分にとっては宇宙戦艦ヤマトではない。似て非なる別のものだ」
どういうことか? §
「つまりどういうことなんだ?」
「ロボとか艦娘とか言うのは、要するにヤマトの尖った部分を丸く削って分かりやすいスケールに縮退させていく行為に他ならない。それによって受容しやすくなるので、歓迎する向きも多いのだろうが、そのヤマトに乗って行けるのはせいぜい有明ビッグサイトで、イスカンダルには到底行けない」
「わははは」
「おいらには、有明ビッグサイトに行くためのヤマトなら要らない。単に有明ビッグサイトに行くだけなら乗り物はゆりかもめで十分だ」
「しかも擬人化はノーサンキューだね」
「そうだ。乗り物は乗って移動するためのもので、人になっても不便になるだけだ」
「結局どういうことだい?」
「人型の巨大なシンボルが出てくると、それは「僕」とイコールになって世界が「僕」の等身大になるわけで、大変に物事が分かりやすくなる。しかし、それは単なるまやかしで、本当の世界は大きいままだ。単に錯覚できるだけだ。なぜおいらは大魔神が好きなのかといえば、大魔神は徹底的に他者であって「僕」とはイコールにならない存在だからだよ。でも、たいていの巨大ロボは「僕」そのものになってしまう」
「艦娘ってもともと等身大らしいよ」
「ならば話はもっと悪い。中に艦娘が入っているヤマトって、等身大のヤマトなんだよ。それって、赤坂サカスにあった15mヤマトよりも小さい、すごくしょぼいヤマトだ。そんなヤマトが素晴らしいのか?」
「さあ。僕は知らないよ」
「少なくとも、そんなしょぼいヤマトは要らないよ。おいらが知ってるヤマトは全長数百メートルの巨大な宇宙船だ。長さは諸説あって一定しないけどな」
「一定しないなら、等身大でもいいじゃないか」
「現実の戦艦大和より小さいという説は1つも無いよ」
行き着く先 §
「ロボでいいならヤマトは要らない」
「そういう人達はどうなんだ?」
「ガンダムは大きいのだ。そして果てしないのだ。酒だってあるのだ。ベルファスト行ってもジャブロー行ってもおまえに買ってやるお土産は売ってるのだ」
「お土産がどこにあるんだよ」
「ベルファストならミハルが物売りに来てくれる。ゴッグ上陸のオマケ付き!」
「オマケはいらん!」
オマケ §
「現実の戦艦大和より小さいという説は1つも無いよ」
「確かにそうかも。矛盾を解消しようと思うと大きい方に変えていくしかない」
「ならば、より小さいヤマトを提唱すれば絶対に新しい」
「は?」
「ヤマト50m説とか100m説とか200m説とか」
「なんで小さくなるんだよ」
「だって、戦艦大和の内部で偽装しながら作ったとしたら、戦艦大和よりもっと小さくないとおかしいだろ」
「それは理屈だっ!」
「それはアムロの台詞」
オマケ15m説 §
「宇宙戦艦ヤマト15m説というのを思い付いた」
「なんで15mなんだよ」
「赤坂サカスの15mヤマトにイスカンダルの波動エンジンを搭載した」
「サイズの矛盾はどうするんだよ」
「みんな、ミクロ化して乗り込むのだ」
「どんな世界になるんだよ」
「浮かぶ要塞島!!たった二人のミクロ決死隊!!」
「ミクロ決死隊なんてみんなしらへんしらへん」
「後の世の人達は、それをミロク戦争と呼んだ」
「よばへんよばへん」
「ミクロ、ミクロ、ミクロ。ミクロの2勇士♪」
「それはミクロイドS。しかも3勇士」
オマケのオマケ §
「結局結論は?」
「ヤマトを艦これ化して欲しいのが多数派の意見なら、それを望む者達がバンダイと適当にやってくれ。おいらが注目する世界とは別のものだ。それについてとやかく言わないから、おいらに何かも期待しないでくれ。以上だ」
「艦これを突き放した!」
「艦これブームに伴って軍艦をより良く知ろうという人達が増えるとは良いと思うよ。何しろ、戦艦と軍艦の区別も付かない人が大多数だからね。艦名を覚えろとまでは言わないが、それぐらいは知っていないと危ない」
「どう危ないの?」
「我が国に戦艦はありません、という言い方が平和的に聞こえてしまうからな」
「大海軍国でも今どき戦艦なんぞ保有しないってことだね」
「でも、逆にコミュニケーションのギャップを増やして壁を作って虚構に逃げる手段になるなら、そんなものは有害でしかないよ」
「艦これプレイヤーと会話が成立しないわけだね」
「そうそう。ぜんぜん話が見えない」
「では結論は?」
「宇宙戦艦ヤマトを殺す最凶の凶器たりえるのが艦これかも知れない」
「もし、背後から刺されてヤマトがゾンビ化したらどうするんだい?」
「いや別に。昭和30年代前後の戦争映画でも見て過ごすさ」
「それ既にやってるから。太平洋の嵐とか見てるから」
「あ、そうそう。ついに眼下の敵を借りたからね(それとサムライ7の5巻)。もうすぐ送られてくる。ハイニ、この映画楽しめそうだぞ」
「見たこと無いの?」
「昔見たはず」