「Windows XPのサポートが間もなく終了するのだが、『突然言われても困る』という人がけっこういる」
「アナウンスはずいぶん前から出ているよね」
「製品のライフサイクルのガイドラインは昔から出されているし、それに則ってWindows XPのサポートが終了するタイミングもずっと前から明示されていた。でも、『突然言われても困る』という人がけっこういる」
「ふーん、それで?」
「考えてみると、京王線の立体化も道路も同じ。突然高架にすると言われても困るとか、いきなり突然道路が通ると言われても困るとか。そういう声は多い。でも、都市計画でそんなものは数十年前から決まっていた。しかも情報も出ていた」
「突然決まったわけではないのだね」
「じゃあ、なんで人は自分に関わりのあることで情報も出ているのに、『知らなかった』と言えるのだろうか」
「さあ」
「とりあえず『狼少年仮説』で説明してみよう」
「どんな仮説だい?」
- 重大な計画が発表される
- みんな驚く
- しかしいくら待っても実現されない
- 狼少年だったと結論する
- 忘れる
- 既に忘れているので、計画が実現されると『知らなかった』と驚く
「問題はどこにあるんだい?」
「『しかしいくら待っても実現されない』という部分だ。都市計画なんてものは数十年あるいは百年単位で動くが、一般人は1日単位で動く。都市計画的に言えば、予算を確保して各方面と調整してやっと動き出す頃にはみんな忘れている。Windowsのライフサイクルはそれよりも短いが、それでも忘れた頃にやってくる」
「つまりなんだい?」
「ここは人を騙すためのトリックを仕込む絶好のチャンスと言える」
「ひ~。対策は何だよ」
「歴史趣味でもやればいいぞ。時間経過の長さを意識してこその歴史趣味だろう。極小郷土史だろうと時間の尺度は無限大に取れる」
「歴史趣味をやると世界観は変わるかい?」
「変わるね」
「どのへんが変わる?」
「ほら。ネット上で横行しているあまりにも行きすぎた韓国人叩きは、関東大震災時の朝鮮人に関する流言飛語の再来にしか見えないよ」
「ひ~」
「結局日本人はあれからあまり進歩してないらしい。歴史が繰り返しているなら、このあとで勝てない戦争を中国とアメリカにふっかけて日本は焼け野原だぞ。結末は核兵器落とされて汚染拡大だ」
「それは確定した未来?」
「確定した未来なんて無いよ。最悪の結末に向かって集団で突っ込んでいく困った人達がいるだけだ」