姫は家具屋の娘だった。商人の娘ではあるがおっとりした性格で姫とあだ名されていた。
5人の求婚者が現れた。「姫、私と結婚を!」「これが鉢です」「これが玉の枝です」「布です」「珠です」「貝です」「差し上げます!」
姫は5人に課題を出した。「この穴の開いた欠陥家具を売ってきた人と結婚しましょう」
しかし、欠陥家具をそれと知って買おうとする者などおらず、誰も家具を売れなかった。
全員が辞退すると課題の家具は邪魔になった。
家具屋の番頭は欠陥家具をリサイクル業者に持ち込んで、囁いた。「穴は開いてますが修理すれば1000ゴールドで売れるお値打ち品ですよ」
家具は見事に売れて家具屋姫は番頭と結ばれた。
(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)